“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
小野伸二も驚いた山崎光太郎の技術。
プロでの苦難は金の卵へのアシストに。
posted2020/08/18 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
真夏の日差しが照りつける熊本県の大津町運動公園球技場。メインスタンドの最上段に食い入るようにピッチを見つめる1人のスカウトの姿があった。
清水エスパルスのスカウトを務めて13年目を迎える山崎光太郎は、九州の高校と大学による合同トライアウト「コネクティング・サポート・セレクションin九州」に赴き、限られるアピールの場で奮闘する高校生と大学生を熱心にチェックしていた。
「この暑さと(学生たちにとって)久しぶりのゲームという難しさはあったと思いますが、やっぱりプロを目指しているんだったら、こういう機会の中でも際立たないと。『明らかにこの選手は違うな』という部分を見せられるかどうか。環境が厳しければ厳しいほど、やれる選手はより際立ちますね」
選手を見る目は厳しく、繊細。
筆者はユース年代を20年以上取材しているが、山崎が現役を引退し、清水のスカウトになってからは全国各地で頻繁に顔を合わせている。山崎は数多くいるJクラブスカウトの中でも積極的に全国を巡り、自分の目でしっかりと選手を見極める。それゆえに選手を見る目は厳しく、繊細だ。
合同トライアウトの直前に行われた東福岡高、大津高ら九州の強豪校が一堂に会した「2020強化交流U-18サッカーフェスティバルin大津」にも姿を現し、1人離れたベンチに座って真剣な目をピッチに向けていた。
「最初はスカウト一本ではありませんでした。クラブの外にいる時はスカウト、中にいる時は他の職務をしていましたね。パソコンで会社内での取締役会の資料作りや、ホームゲームの公式記録員も。そこから徐々にクラブ内の仕事が減り、3~4年目あたりからスカウト専門になりました」