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岡崎慎司の決定力を水沼貴史が分析。
“的”の大きさ、吸収力の原点は……。 

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水沼貴史

水沼貴史Takashi Mizunuma

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photograph byGetty Images

posted2020/07/23 11:30

岡崎慎司の決定力を水沼貴史が分析。“的”の大きさ、吸収力の原点は……。<Number Web> photograph by Getty Images

誰もが幸せになる岡崎慎司の笑顔。日本サッカー史に残るストライカーであり、ムードメーカーである。

岡崎は以前から逆境に強い。

 岡崎は1人でボールを持ち込んでゴールを決めるタイプではありません。味方の信頼があった上で、それに応えることで岡崎の良さが出る。だからこそ、信頼を勝ち取ることはとても重要になります。

 昨季まで所属したプレミアリーグのレスターでは徐々に出番が限られ、なかなかトップフォームを維持できない時期が続きました。

 活躍の場を求めて移籍したスペインでも、当初マラガでプレーする予定でしたが、契約後に問題が発生し、わずか1カ月で退団。急遽ウエスカへ移籍した状況でしたから、いくら実績があるとはいえ、チームメイトの目だって厳しかったはずです。

 ただそんな中でも、今季出場した37試合のうちスタメンは26試合。彼の空気を和ませるキャラクターもありますが、プレーで信頼を勝ち取ったという何よりの証だと思います。

 今季の復活劇のように、岡崎には以前から逆境に強いという印象を持っていました。岡崎が入団した当時に清水エスパルスを率いていた(長谷川)健太がよく「岡ちゃんがさ~」と話していた記憶がありますが、当初は「FWの8人中8番目」なんていうレッテルを貼られたこともありました。でも、そこから這い上がって日本代表の主力となり、プレミアリーグで優勝です。

長谷川健太とインプット、アウトプット。

 成長できた何よりの要因は、彼に吸収する力があったからでしょう。

 プロとしてインプットをしたとしても、結果を残すというアウトプットができないと意味がありません。アドバイスを聞く耳を持っていたとしても、プレーで示さないとプロとは呼べないんです。

 そういうインプットとアウトプットを覚えたという意味で、プロ生活で最初に出会った指揮官がストライカーの先輩である健太だったことも大きいかもしれませんね。健太自身も「ストライカー」のイメージが強いですが、昔はヘディングでのゴールが少なかった。それでも現役終盤になって頭でのゴールが増えたのは、FWとしての駆け引きを覚えたからだと話していたことがあります。

 FWとしてどこでポイントを決めてシュートを打つか、どこを狙うか、というところで岡崎は少なからず影響を受けているはずです。

【次ページ】 vs.セルヒオ・ラモス、乾が楽しみ。

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