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難解重賞函館記念は今年も多士済々。
3頭出しの藤沢厩舎への対抗馬は?
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2020/07/17 18:00
昨年のエプソムC(GIII)以来の勝利を目指すレイエンダ。鞍上はC・ルメールで臨む。(写真は19年マイルCS)
巴賞と函館記念の連覇は?
トーラスジェミニ(牡4歳、美浦・小桧山悟厩舎)も楽しみな1頭だ。この春に3勝クラスを勝ったばかりだが、すっかり逃げの脚質が身についたか、前々走のエプソムC(GIII)でも粘りに粘って僅差の3着。東京の長い直線で最後に捉まったものの、勝ち馬から僅かに0秒2差だったのだから評価出来る。
そして、それを証明したのが前走。函館記念の前哨戦とも言える巴賞(函館競馬場、芝1800メートル)で、自分のペースに持ち込むと最後まで他馬にかわされる事なく堂々と逃げ切ってみせた。距離が200メートル延びる点と、カウディーリョなど他の先行勢の出方がどうなるかだが、再び自分の流れに持ち込めるようなら面白い存在だ。
ただし、このところ巴賞と函館記念を連勝する馬がなかなか出ていない。それどころか近10年に限ればマイネルスターリー、トウカイパラダイス、エアソミュール、サトノアレスの4頭が巴賞を勝って、ここで1番人気に推されたものの馬券圏内に入る事なく敗れている。“逃げ”という手は大きなアドバンテージになる一方、目標にされるディスアドバンテージにもなる。果たして今回のトーラスジェミニはどちらの結果となるだろうか。ちなみに騎乗するのは3頭出しの藤沢和雄調教師の弟子である木幡育也騎手というのも面白いところ。勝てば師匠に対する恩返しという事になるのだろう。
多くの伏兵陣と興味深い1戦を。
トーラスジェミニにとっても展開のカギを握る存在となりそうなのが、先述のカウディーリョ(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)か。3走前はGIの菊花賞で逃げて見せ場を作った。最後は8着に沈んだが、勝ち馬と0秒6差、3着のヴェロックスとも0秒4差しかなかったのだから立派なモノ。それを裏付けるように続く準オープンを楽々逃げ切ると、前走のメトロポリタンSは一転して差す競馬。ゴール前の末脚は目立っており、上がり3ハロンのラップは出走馬中2番目タイの速さだった。ハンデ的にも先に紹介したレイエンダやトーラスジェミニより軽い55キロ。侮れない存在だ。
また、前走一度は抜け出すシーンも演出してみせたバイオスパーク(牡5歳、栗東・浜田多実雄厩舎)や昨年のこのレースで2着したマイネルファンロン(牡5歳、美浦・手塚貴久厩舎)、少し間は開いているものの、前走の新潟大賞典(GIII)で3着と善戦したプレシャスブルー(牡6歳、美浦・相沢郁厩舎)ほか伏兵陣も多士済々。いずれにしても興味深い一戦となりそうだ。