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やっぱりデムーロとオルフェだった。
ラッキーライラックが大阪杯を完勝。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/04/06 11:50
ラッキーライラックとアーモンドアイ、今やったらどちらが……そんな想像をかきたてる同世代の名牝たちである。
すり抜けた馬1頭ぶんのスペース。
自身のリズムを優先させて馬なりで走るうちに、外から上がってきたダノンキングリーとジナンボーを先に行かせ、内の3番手で1、2コーナーを回って行く。
3、4コーナーでも手応えは抜群で、前のダノンキングリーをマークするような位置につけている。
しかし、前を行くダノンキングリーとジナンボーとの差は詰まったものの、外をクロノジェネシスに塞がれ、行き場がないまま直線に入った。
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内からダノンキングリー、ジナンボー、クロノジェネシスの順で、3頭が激しく叩き合う。
その直後で、デムーロはダノンキングリーとジナンボーの間に隙間ができるのを待っていた。両馬の間に馬1頭ぶんのスペースができた瞬間、そこを突いた。
「スペースがあってよかった。展開が上手くいきました。最後はすごくいい脚だった。無観客で寂しいですが、GIを勝つのは気持ちいいです」
ラッキーライラックは2頭の間を割るように伸び、首差の勝利をおさめた。最短コースを通って力を引き出したデムーロの騎乗は、見事だった。
2着は北村友一が騎乗した秋華賞馬クロノジェネシス。前週の高松宮記念につづき、牝馬のワンツーで決着した。北村は、騎乗馬がゴール前で不利を受けて4位入線後3着となった高松宮記念につづき、悔しい結果となった。
アーモンドアイに敗れた2年前。
ラッキーライラックの変化、成長に関して、松永幹夫調教師はこう言う。
「去年の秋ぐらいから精神的に強くなりましたね。以前は馬ごみから、前の馬の間をこじ開けてくる感じではなかったのですが、それができるようになった」
1番人気に支持された桜花賞ではアーモンドアイの2着と涙を呑んだが、2年後の桜の季節に、牡馬の強豪をなぎ倒し、3つ目のGIタイトルをもぎ取った。
今後に関しては未定と松永調教師は話しているが、デムーロは「この折り合いなら2400mでも問題ない」と太鼓判を捺す。