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サファテが348日ぶりの帰還。
左脚の使い方に見える復調の気配。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2020/03/05 11:40

サファテが348日ぶりの帰還。左脚の使い方に見える復調の気配。<Number Web> photograph by Kyodo News

MLBでプレー後、広島、西武を経て'14年からソフトバンクにやってきたサファテ。日本通算234セーブ。

昨年の春に140キロそこそこだった。

 結果は上々だ。サファテは「大きな一歩だった」と感無量。工藤公康監督も「マウンドに帰ってこられたのが彼にとって、そして僕らにとって収穫」と笑顔で振り返った。しかし、「ボールの勢い云々より」という前置きがそこにはついていた。

 マウンドに戻ってきた事実は間違いなく喜ばしいし、大変なリハビリを乗り越えてここまで来たサファテには最大限の敬意を払うのが当然だと思っている。しかし、一方で、この投球を見れば不安がないとは言い切れないだろう。

 サファテは'18年シーズンの開幕直後に股関節の張りを訴え、同年4月に患部の難手術に踏み切った。復帰が困難とされる股関節の手術。ホークス、巨人で活躍した杉内俊哉が同箇所の故障が要因となり現役引退に追い込まれた事実もあり、「股関節を痛めた選手の復帰は不可能」という声さえ上がるし、妙に説得力も持つ。

 そして、先述したとおりサファテはちょうど1年前の今頃に一旦は実戦復帰を果たしていた。しかし、球速は140キロそこそこしか出ず、一軍戦力として厳しいのは素人目に見ても明らかだった。

 さらに昨シーズン1年間のリハビリを経て迎えたこの日の復帰マウンド。それでも最速144キロのストレートだ。首を傾げたファンもいたかもしれない。

左脚の使い方でわかる状態。

 しかし、「否」と言いたい。

 サファテの投球フォームは1年前と確実に違っているからだ。

 今年の春季キャンプも27日間完走して取材を行った中で、サファテのブルペン投球は極力見るようにしていた。チェックポイントにしていたのは、左脚の使い方だった。

 全盛期のサファテの場合。左脚を高く上げ、そこから思いっきり踏み込んでいく。ただ、その動作の中にメリハリがあったのだ。一瞬の“間”があり、それが打者のタイミングを狂わせていた。また、この動作を行うことで、投げに行く際の内転筋が“絞れて”見える。いわゆる下半身に力が溜まっているか否かがそれで分かるのだ。

【次ページ】 下半身は太くなっている。

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デニス・サファテ
福岡ソフトバンクホークス

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