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イタリアを覆う新型コロナパニック。
ユーべvs.インテル延期、街は閑散。
posted2020/03/03 08:00
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph by
Getty Images
イタリアで、街の人通りが少なくなる時期は3度ある。
まずは、クリスマスから新年にかけて。次に、3月ないしは4月のイースターの時期。そして、8月15日の「聖母被昇天祭」の頃だ。
学校も企業も休みを取り、人々は家族のもとで過ごすか、出身地に帰省するか、旅行に行くかで街を空ける。
車が多くて通りは渋滞気味。時折スモッグに悩まされ、ラッシュ時間は電車、地下鉄も混雑するいつものミラノの街が閑散とするのも、この時期だ。
筆者が住むミラノ周辺の現在は、まさにこの状態だ。1年で最も人通りが多くなるはずのミラノコレクションの時期だというのに、車も人も非常に減っている。
まるで「湾岸戦争の時のようだ」。
とりわけ18時以降は人々の交流の場であるバールが一斉に扉を閉め、夜9時を回れば深夜、いやゴーストタウンかというくらいに人の気配が感じられない。
スーパーマーケットで買い占めが起こり、消毒液や食料品が姿を消した様子は日本のニュース報道にも上ったことだろう。2月22日に移動制限が課されて事実上封鎖された11の地方自治体でないところでも、そんな状況である。
当然、大規模イベントはことごとく中止になり、その中には2月23日にサン・シーロで行われる予定だったセリエAのインテル-サンプドリア戦も含まれていた。
「雰囲気は第1次湾岸戦争の時のようだ」と人は言う。
新型コロナウイルスの感染は、イタリアでも急激に拡大中。
2月27日午前0時発表で感染者は456名に上ったが、その4分の3近くの305名がこのミラノを含むロンバルディア州で確認されている。雰囲気はまさに戒厳令下、文字通りの非常事態である。