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イタリアを覆う新型コロナパニック。
ユーべvs.インテル延期、街は閑散。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2020/03/03 08:00
日本ではトイレットペーパーの買い占めなどが起きているが、セリエAが延期となったイタリアでも同様の模様だ。
封じ込めに一見成功したはずが。
イタリアで非常事態宣言が出されたのは、1月31日のこと。ローマで2人の中国人観光客がウイルス陽性と判明した。そこからすぐに隔離措置が取られ、以降の感染者は出さず封じ込めには一見成功したことになっていた。
ところが21日、様相は一変する。ミラノから60kmほど離れたローディ県コドーニョで、38歳の男性が呼吸困難を訴え病院に運ばれたところウイルス陽性が発覚。その家族や友人、また地域の人々など感染者は14人に登った。
ロンバルディア州政府は、コドーニョとその周辺の10の地方自治体に移動制限並びに生活に必要不可欠な物資・サービスを供給する仕事や在宅勤務を除き、すべての労働活動を禁止する措置を敷いた。
しかし翌日、状況はさらに悪化する。ローディ周辺で収容された2人目の感染者である77歳の女性が死亡。感染者も一気に拡大して国全体で76人、ロンバルディア州では54人に上った。
そんなニュースが伝われば、人々は警戒を強めざるを得ない。
冨安の試合を取材に行く道中……。
先日、筆者は冨安健洋が所属するボローニャとウディネーゼの一戦を取材するため鉄道を利用したが、ミラノ中央駅ではマスクをした旅行客の姿が多く見られた。
電車に乗ると、私の顔を見るなり遠ざかったり、あからさまに口元をマフラーやタートルネックの襟で隠したりする人までいた。こういう状況で23日の試合をまともに開催できるのか、ということを考えていたら、深夜にイタリア共和国のジュゼッペ・コンテ首相が「伝染病危機に関する抑制並び制御のための通達を行った」と発表した。
具体的な策は各州政府が講じることになるが、ロンバルディア州においては差し当たり3月1日まで、人の出入りの多いイベントは禁止され、インテルvs.サンプドリアをはじめとした3試合(翌日に1試合追加)が延期となった。
そこからは、現在のような“戒厳令下状態”が続いている。