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イタリアを覆う新型コロナパニック。
ユーべvs.インテル延期、街は閑散。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2020/03/03 08:00
日本ではトイレットペーパーの買い占めなどが起きているが、セリエAが延期となったイタリアでも同様の模様だ。
ELは中立地開催を要請したが。
一方、代替開催日を設定することがそもそも不可能な国際試合は無観客試合で行われることが決定。27日のELインテルvs.ルドゴレツ戦の第2レグは予定通りサン・シーロでの開催のまま、無観客で実施された。
地元紙報道によれば当初ルドゴレツ側が難色を示し、中立地での開催をUEFAに要請したが、返答は「No」だった。
ただし、無観客であっても開催できれば良い方だったかもしれない。他のスポーツでは、3月7日のラグビー・シックスネーションズのイタリアvs.アイルランド戦の延期が決定。プロバスケット女子ユーロレーガのスキーオvs.ショプロン(ハンガリー)、ヴェネツィアvs.リガ(リトアニア)の試合は、それぞれの対戦相手から中立地での開催すら拒まれた。
憤慨したスキーオは勝ち試合扱いとするよう要求し、イタリアバスケットボール協会のジャンニ・ペトルッチ会長は「イタリアを差別するような行為を見せたクラブは処罰してほしい」と訴えるまでになった。
27日のインテルvs.ルドゴレツ戦。ミラノに到着したルドゴレツの選手たちは、マスクに手袋姿の防疫態勢をとっていた。前日の記者会見などは行われず、前日練習も関係者以外立ち入り禁止。そして選手たちは試合終了後、直ちにミラノを後にした。
TV中継の1社しか取材できない。
入場規制はメディアにも及んだ。
当日、取材できたのはTV中継を担当する1社のみ。それもカメラマン数人と試合中か直後にインタビューするピッチサイドリポーターぐらいで、実況並びにコメンテーターもTV局からコメントを入れることになった。
他局や新聞・雑誌・ウェブ等の記者は、入場も記者席からのスタンド観戦取材も禁止。「放映権料で金を払っているところはリポーターをピッチサイドに置ける。1メディアに独占させるのは問題があるし、そもそもウイルス対策というなら(人を入れるべきではないのに)逆のことをしている」と、ある地元記者はこぼしていた。
報道側からは見直し要求がなされたが、セリエAも大体同じ方向での無観客試合を実施することとした。ミランvs.ジェノアの場合はスタンドに記者を入れるものの、会見室や試合後のミックスゾーンには選手を立ち入らせず、監督は記者からの代表質問に別室で答えるという段取りにしたという。
にもかかわらず、セリエAは2月29日に突然、方向転換した。無観客試合が決まっていた5試合すべてを、5月13日に延期することに決定したのだ。