Jをめぐる冒険BACK NUMBER
Jクラブは開幕前、何を鍛えている?
レノファ山口のキャンプ潜入・前編。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byNorio Rokukawa
posted2020/02/13 20:00
ミーティング中、熱心な表情で選手にコンセプトを説く霜田正浩監督。キャンプでしか見られない貴重なものだ。
オフにセビージャの非公開練習を視察。
一方、霜田監督は、自身のアップデートにも余念がない。
クラブの公式行事が終了した昨年12月1日の夜に飛行機に飛び乗り、約1週間の旅に出かけた。
訪れたのは、ドイツとスペイン。レバークーゼンとセビージャではクラブの内部を覗かせてもらい、最後に大迫勇也のブレーメンの試合を観戦して帰国した。
レバークーゼンでは、かつてジェフ市原(千葉)に所属した監督のピーター・ボスと約3時間にわたってサッカー談議を繰り広げ、ボスと自身のサッカー観やフィロソフィが似ていることで自信を深めた。
セビージャでは、スポーツダイレクターのモンチに連絡を取り、元スペイン代表監督のジュレン・ロペテギの非公開練習を3日間、じっくり視察させてもらった。
このあたりの話は後日、改めて霜田監督のインタビューで明らかにするが、この欧州行脚の成果のひとつが、タイキャンプのミーティングルームに飾ってあった。
山口のプレーモデルをまとめたボードである。
プレーモデルを1枚のボードに。
ここには「攻撃」「守備」「守備から攻撃」「攻撃から守備」の際にチームとして大事にしなければならないことが、キーワードとともに整理されている。
「これを公にするのは控えてもらいたいんだけど(笑)、実はボスの監督室にも、スタッフルームにも、ロッカールームにも、ミーティングルームにも、プレーモデルを1枚のボードにまとめたものが飾ってあったの。いつでも、みんなの目に入るようにって。これはいいなと。これまでうちも言語化はしていたけれど、可視化はしていなかった。だから、さっそく真似して作ったというわけ(笑)」
このエピソードに代表されるように、霜田監督は欧州最先端のスタンダードを貪欲に取り入れている。
「ヨーロッパのサッカーは毎日見てます。フィロソフィの部分でシンパシーを感じるチームは特に。リバプールとか、シティとか、レバークーゼンとか。自分を常にブラッシュアップさせて引き出しを増やさないと、指導はできないからね」