球体とリズムBACK NUMBER
連続PK失敗より注目。神戸の充実と
フェルマーレンがJで学ぶ「驚き」。
posted2020/02/11 11:30
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
「自信というよりも、タイトルへの欲。これだけ勝てるようになり、タイトルを取れるようになって、さらに取りたいという欲求。チーム全体から、欲を感じるようになりました」
2月8日にゼロックス・スーパーカップを制したヴィッセル神戸の酒井高徳は、試合後にこのタイトルの意味をそんな風に話した。
シーズン開幕直前に、前年のリーグ戦とカップ戦の王者によって争われるスーパーカップは、多くの国で恒例となっているものだ。
ただしそれはメジャータイトルに数えられていない。例えば、マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ前監督が、2年半の任期中に獲得したトロフィーの数を、コミュニティシールド(イングランドのスーパーカップ)を含めて「3つだ」と主張したとき(そのほかはリーグカップとヨーロッパリーグ)、現地のメディアは嘲笑的に報じている。
監督も「優勝と準優勝は違う」と。
それでも神戸にとっては、重要な冠のひとつだったはず。
「監督も試合前に、これはただのタイトルじゃない、優勝と準優勝は違う、と熱く語っていました」と酒井が明かしたように、彼らは真剣にこれを獲りにいった。今年元日の天皇杯でクラブ史上初タイトルを手にしたクラブは、勝利やトロフィーを重ねることを必要としている。いわゆる“勝者のメンタリティ”は、そうしないことには身につかないからだ。
桁違いの資本力を持つクラブは、壮大な目標を掲げている。
それは国内にとどまらず、アジアに覇を唱えること。天皇杯優勝により、彼らはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権──つまりアジア制覇への挑戦権──を手にした。クラブ史上初のACLに挑む今シーズンに向けて、ヴィッセルが幸先良いスタートを切った。