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絶対的支柱・篠山竜青を欠く川崎。
Bリーグ制覇へPG青木の役割と責任。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bySyo Tamura/AFLO SPORT
posted2020/01/24 08:00
天皇杯決勝にも出場した川崎のPG青木保憲。怪我の篠山に代わってチームの司令塔が務まるか。
成長の跡とポテンシャルを見せつける。
実は、開幕前の時点で、佐藤HCは青木の活躍を予想して、こう語っている。
「昨シーズンまでだったら、練習で(藤井)祐眞にケチョンケチョンにやられて、下を向いて、へこんでいた青木がいました。でも、今はそれでも立ち向かって、やりあっています。これを続けていけばさらに成長していくのではないかなと僕は考えています」
その言葉通り、今シーズンの青木は23点差をひっくり返した千葉ジェッツ戦の大活躍をはじめとして、成長の跡と彼のポテンシャルを見せつけるようなパフォーマンスを、見せた試合がいくつもあった。
でも、今年に入ってからの最初の2試合を見てもわかるように、そうしたパフォーマンスをコンスタントに披露できないのもまた事実だ。
特別指定選手(一般企業のインターンシップのようなもの)として川崎にやってきてから3シーズン目だ。まだ若手だという声もあるかもしれない。
ただ、筑波大学の同級生である馬場雄大はすでに日本代表の主力となり、アメリカへと渡った。同じく杉浦佑成は、天皇杯決勝でも3本の3Pシュートを決めて、渋谷の優勝に貢献した。
これまで取り組んできたこと一気に変える必要はなくとも、調子の波なく、実力を発揮できるようにならないといけない。
千葉を倒す原動力となった。
そういえば、そんな彼のキャラクターを象徴的するシーンがあった。
2018年5月2日。レギュラーシーズン最終盤、千葉とのアウェーゲームのことだ。
直前のリーグ戦で篠山が右足を軽傷して、3カ月ほど前に川崎の門を叩いたばかりの青木が奮闘しなければいけなかった。
あのシーズンの千葉は堅守から相手の心を折るような速攻を繰り出していく先行逃げ切り型のチームで、Bリーグ史上最もタフな組み合わせとなった東地区を制している。
実際、第1Qでリードを奪った試合における千葉の成績は36勝1敗という圧巻のものだったのだが、その1敗を記録したのがあの日の川崎だった。その原動力となったのが、日本を代表するPGの富樫勇樹が嫌がるようなディフェンスを続けた青木だった。