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菊池雄星が感じた日本とMLBの違い。
「個人が持つ自由と責任」 

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菊池雄星

菊池雄星Yusei Kikuchi

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posted2020/01/08 11:40

菊池雄星が感じた日本とMLBの違い。「個人が持つ自由と責任」<Number Web> photograph by AFLO

菊池雄星のメジャー1年目は試行錯誤の年だった。新たな場所で、新たな能力を身につけるために。

登板当日の全体練習は参加しない。

 調整でも、先発登板日のルーティンは日本時代と大きく変わりました。

 日本では登板当日の全体練習に参加していましたが、メジャーでは全体練習は免除されています。夜の7時にプレイボールだとしたら、4時くらいに球場に来てミーティングをしてご飯を食べたらアップ、という行程です。

 つまり、登板までのアップは1回しかしません。

 逆に、日本では2回アップをする事に疑問を持たずにいました。

 全体練習に参加すると、必然的に登板までに2回以上キャッチボールをすることになります。身体の疲労を考えた時に、あまり有効ではなかったな。と振り返ると思います。

 ただ、これは日米の調整方法が異なるというよりも、個人に任せられている部分が大きいということだと思います。

 アメリカでは、個人の責任で試合の時に100%の状態に持っていけば何でもいいよという感覚だと思います。中には、デイゲームの試合開始30分前に球場入りする選手も稀にいます。

日本人とアメリカ人に大きな差はない。

 ただし、日本もアメリカも変わらないなと思うのは、練習しない選手がエラーをしたら「あいつは練習をしないからだ」と言われることです。それはどこの世界でも一緒だと感じます。

 日本人とアメリカ人の違いは? とよく聞かれますが、文化の違いは多少あれど、同じ人間ですし、同じ脳を持っているのですから、喜怒哀楽のトリガーは大きく変わらないのではないかと考えます。

【次ページ】 上下関係やルールすらも自己責任。

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