バスケットボールPRESSBACK NUMBER
八村塁と、ウィザーズの序盤戦。
NBAで長くキャリアを築くための鍵。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2019/12/24 08:00
16日のピストンズ戦で負傷した八村塁。チームにとっても痛い離脱となった。
存在感増すミドルレンジとゴール前。
今季のウィザーズの攻撃は3ポイントシュートが中心で、ブラッドリー・ビール、ダビス・ベルターンスを筆頭に1試合平均13本を成功させてきた。今のペースならシーズン通算1066本を決めることになり、これはリーグ史上9位の記録になる。
単に数が多いだけではなく、成功率が高いのも特徴。キャリア平均3P成功率38.1%のビールこそ今季は同34.3%に過ぎないが、ベルターンスは45.7%、アイザイア・トーマスが43.3%、ジョーダン・マクレーが39.4%、モーリツ・ワグナーが39.3%と多くの選手がハイレベルの数字を保っている。
八村の3ポイントシュートはまだ成功率20.8%と低調で、とにかくガードもビッグマンもロングジャンパーを打ちまくるチーム内では異質の存在と言える。ただ、だからといってオフェンスに絡めていないかといえば、むしろ逆。外からのシュートが得意なチームメイトたちが作ったスペースを活かし、八村はミドルレンジとゴール下で得点を稼いでいる。2ポイントのFG成功率53.3%はリーグ48位というハイレベルな数字で、プルアップジャンパーの成功率も46.3%と高い。
ADVERTISEMENT
「絶対にどこでも通用するっていうのは、小さい頃からわかっていた。僕はそういう武器を持っている。他の試合を見ても、あまり(中間距離の)シュートを連続で決めて、いい感じでできる人はいないので、そういうところは絶対に生きると思っていた。それが今も通じているんじゃないかなと思います」
開幕直後にそう述べていた通り、八村は自身のミドルレンジ・ジャンパーに絶対の自信を持っている。“どこでも通用する武器”は、高校、大学と同様に、NBAでも確実な効果を発揮しているのだ。
ウィザーズの強みを「もっと伸ばせたら」
このような八村のプレースタイルが最大限に生かされたのは、12月5日のフィラデルフィア・76ers戦だった。
その時点でイースタン・カンファレンス5位だった強豪を相手に、八村は27得点、7リバウンド、2スティールというオールラウンドゲームで勝利に貢献。特にベンチ登場で7本の3ポイントシュートを決めたベルターンスと、非常にうまく噛み合っていた印象があった。
「フロアもすごい広がるので、インサイドがもっと攻めやすくなります。そういうところがこれからの僕らの強みになってくると思う。もっとフィルムとかを見たり、いろんな研究をして、もっと伸ばせたら良いなと思いますね」
今季は年間300本ペースで3ポイントシュートを決めているベルターンスと一緒にプレーする楽しさについて尋ねると、八村は目を輝かせてそう述べていた。このようにアウトサイドからの長距離砲と、近年のNBAでは重宝されなくなっていた中間距離を得意とする選手が共存できているのもウィザーズの強みと言える。