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映画でDeNAの2019年を残す意義。
広報の力説から感じた「横浜愛」。 

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/12/13 11:30

映画でDeNAの2019年を残す意義。広報の力説から感じた「横浜愛」。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

DeNAのドキュメンタリー映像を見れば、選手たちが筒香嘉智のメジャー挑戦を覚悟して戦った1年だったことが分かる。

横浜という街にコミットメントする。

 今年、経営陣の1人に話を聞く機会があったが「DeNAは、単にスタジアムにお客様を呼ぶだけでなく、横浜という街そのものにコミットメントすることで、新たなビジネスを展望したい」と語った。

 どの球団でも、最寄り駅からスタジアムまでの沿道には球団のフラッグがはためき、選手の写真があちこちにあるものだ。

 しかし横浜では、ハマスタから離れたJR横浜駅周辺や横浜の各地でブルーのベイスターズのフラッグや選手たちの写真を目にすることができる。これはベイスターズが「横浜市」という街そのものとつながろうとしていることを表している。

 今年10月、筆者は横浜のホテルで行われた筒香の「ポスティングシステムによるMLB挑戦」を表明した記者会見に出席したあと、横浜駅の周辺を歩いた。近くのビルには筒香嘉智の巨大な看板がかかっていた。

 彼はベイスターズだけでなく「横浜の顔」でもあったのだ。この看板も、来年にはなくなるのだと思うと、愛惜の念が沸いてきた。

 関西人でベイスターズとの縁は深くない筆者だが、横浜の人たちが感じるであろう喪失感が分かった気がした。

 この映画は「ベイスターズファンのための映画」としてのみあるのではない。むしろ1つの「作品」としてこの映画を見た人が、ここから「ベイスターズファン」になってしまうこともありそうな映画だといっていいと思う。

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