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FAはメジャー131人、日本は一桁。
これでは選手の待遇は上がらない。
 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2019/12/07 20:00

FAはメジャー131人、日本は一桁。これでは選手の待遇は上がらない。<Number Web> photograph by GettyImages

日本ではFA宣言することは「所属チームへの裏切り」と見る人も根強い。秋山翔吾などは幸福なケースなのだ。

メジャーでは今年131人がFAになった。

 ところでウィーラーの高額契約は、FA権取得までの2年間の成績が似ていた昨年の左腕パトリック・コルビン(当時29歳)の6年1億4000万ドル(154億円)をベースにしているという。

 それは毎オフ、「先発投手の相場は年俸〇〇ドル、主力打者の相場は〇〇ドル」などとといった風にFA市場が形成されるメジャーリーグならではだろう。

 メジャーリーグでは今オフ、131人もの選手が一気にFAになった。

 メジャーリーガーは6年プレーするか、それ以上長くプレーした選手たちは契約満了後、(基本的に)自働的にFAになるので、国内FAで8年、海外FA権取得まで9年もかかり「FA宣言」なる面倒なしきたりがある日本のプロ野球よりも、FAになる選手が多くなるのでFA市場も形成しやすい。

日本で「FA宣言」したのは……。

 日本のプロ野球では今オフ、決して少なくない権利取得選手の中から美馬学投手、鈴木大地内野手、福田秀平外野手、そして秋山翔吾外野手の4人だけが「FA宣言」をした。宣言残留した十亀剣、則本昂大をいれても6人である。それではFA市場など育つはずがない。

 日本のWikipediaによると、日本のプロ野球では「FA宣言した選手の翌シーズンの年俸は現状維持が上限」で、その理由は「複数球団による過度な獲得競争を防止するため」らしい。

「特別な事情をコミッショナーに文書で申請し、コミッショナーがこれを認めた場合」に制限を超える金額での契約が可能であったり、「契約年数や出来高払い(インセンティブ契約)、2年目以降の年俸の上昇に制約は無い」というルールはあるものの、基本的にはFAを制限する方向になっている。

【次ページ】 選手会の声をうまく封じ込めている。

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ザック・ウィーラー

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