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FAはメジャー131人、日本は一桁。
これでは選手の待遇は上がらない。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGettyImages
posted2019/12/07 20:00
日本ではFA宣言することは「所属チームへの裏切り」と見る人も根強い。秋山翔吾などは幸福なケースなのだ。
選手会の声をうまく封じ込めている。
日本のプロ野球は実際、うまくやっている。
8年も9年もプレーできる選手は全体から見れば少数派なのに、国内FAも海外FAも取得までの期間が短縮される気配はないし、それを「長い」と訴え続けている選手会も、今のところ封じ込めている。
国内FA選手流出の際には、場合によっては「人的補償」と呼ばれる交換選手が発生するので「FA」よりは「トレード」に近いのだが、これについても反対する選手会をうまく、封じ込めている。
選手の待遇改善にとって実はFA以上に重要な年俸調停制度も、今まで調停に至ったのがわずか7選手しかいないことからも分かる通り、ほとんど形骸化させることに成功している。
労使協定を更新してきたメジャー。
その理由の1つは、日本の選手組合=選手会が球団側と対等に団体交渉できる「労使協定」を更新するタイミングがないからだろう。
メジャーリーグでは1973年の団体交渉で、選手組合とメジャーリーグ機構の間で初めて「労使協定」が締結された。
以来、協定の期間が切れる度に新しい「労使協定」を締結するための団体交渉が行われ、その度に選手の待遇が改善されてきた。
その過程で選手組合による通算5度のストライキと、経営者側による通算3度のロックアウト、つまり通算8度のStoppage=日程停止が行われ、史上初のポストシーズン中止に至った1994年途中から1995年春のストライキ以降は、選手側も経営者側も何とか期限切れ直前に新しい労使協定を締結させて、さらなる日程停止を回避している。