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ドラフトで高校生指名が上手い球団。
「パ高セ低」にも変化が起きる? 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2019/11/12 19:00

ドラフトで高校生指名が上手い球団。「パ高セ低」にも変化が起きる?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

甲子園を沸かせた星稜バッテリーはともにセ・リーグへ。今年も多くの高校生がプロの門をたたく。

日本シリーズの成績にも影響?

 そういう育成の難しい高校生を一番戦力にしているのはどこなのか調べてみた。

 まず'95~04年の10年間では56人の高校生が1位指名されて、私が基準にする成功ライン(投手は50勝<1セーブ・1ホールドは0.5勝に換算>、300試合登板、野手は500安打、1000試合出場)に到達したのは17人、成功率.304である。セ・パの比率ではセ・リーグ29人、パ・リーグ27人と競り合っていて、日本シリーズの勝敗もセの6勝4敗と拮抗していた。

 '08~17年の10年間('05~'07年の分離ドラフトは除外する)では43人の高校生が1位指名されて、1位組の成功率.419は前10年に比べてもかなり高い。ただ、比率ではセ18、パ25人とパが上回った。そのためなのか、日本シリーズの成績はパが8勝2敗と圧倒している。

ソフトバンク、日ハムが4人。

 ドラフトの順位に関係ないが、成功ラインに達した高卒選手を挙げてみる。('08年以降なので、成功基準は厳密ではない)

<広島 3人>
今村猛('09年1位)、中崎翔太('10年6位)、鈴木誠也('12年2位)
<DeNA 2人>
筒香嘉智('09年1位)、桑原将志('11年4位)
<ヤクルト 2人>
中村悠平('08年3位)、山田哲人('10年1位)
<中日 2人>
岡田俊哉('09年1位)、高橋周平('11年1位)
<阪神 1人>
藤浪晋太郎('12年1位)
<巨人 1人>
大田泰示('08年1位)

<ソフトバンク 4人>
今宮健太('09年1位)、千賀滉大('10年育4位)、甲斐拓也('10年育6位)、武田翔太('11年1位)
<日本ハム 4人>
中島卓也('08年5位)、西川遥輝('10年2位)、近藤健介('11年4位)、大谷翔平('12年1位)
<西武 3人>
浅村栄斗('08年3位)、菊池雄星('09年1位)、森友哉('13年1位)
<楽天 2人>
辛島航('08年6位)、松井裕樹('13年1位)
<ロッテ 2人>
西野勇士('08年育5位)、田村龍弘('12年3位)
<オリックス 1人>
西勇輝('08年3位)
※桑原、高橋周、大田、甲斐、辛島、田村は達成見込み。大谷は投手、打者の成績を考慮。

 これらのことから、高卒選手を育成するのがうまいのはソフトバンク、日本ハム、西武、広島の4球団であることがわかる。ソフトバンクに関しては'151位の高橋純平が4年目の今季、一軍に定着し、育成巧者の名を高めた。さらに育成ドラフト出身の千賀、甲斐の高卒バッテリーを育て上げた手腕は球界トップクラスと言っても過言でない。

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