Number ExBACK NUMBER

<女子ハンドボール世界選手権プレビュー>
おりひめジャパン「世界を倒す準備はできている」 

text by

田口有史

田口有史Yukihito Taguchi

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2019/11/14 16:00

<女子ハンドボール世界選手権プレビュー>おりひめジャパン「世界を倒す準備はできている」<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

「地元の声援を受けて、世界一を」

 五輪よりも出場国が多く、レベルの高いヨーロッパの国々が多く参加する世界選手権は、真の世界一決定戦と言える。スピーディーな試合展開と、フィジカルの接触、アスリートとして高い次元が求められるハンドボールは、一度観戦すると、また見たいと思う魅力がある。

「2013年のセルビア世界選手権の時、開幕戦で地元のセルビアと試合をしたんです。1万人以上のお客さんが入って、すごい雰囲気でした」

 熊本の世界選手権で日本がプレーするパークドーム熊本も1万人の収容人数を誇る。

「ドイツもハンドボールが盛んなので、普段は考えられない数のお客さんの前でプレーする事ができました。そんな大会を日本でする事ができて光栄です」

 この大会を機会に、ハンドボールへ興味を持ってもらい、ヨーロッパのような雰囲気を作り出して欲しいと永田は熱を込める。

「私は本気で優勝したい。地元の声援を受けて、世界一を目指したいんです」

 この大会で結果を出す事ができれば、来年に向けて世間の注目も集まるだろう。今までハンドボールを観る事の無かった人たちに、触れてもらう大きなチャンスにもなる。その為には予選リーグを必ず突破してメインラウンドへ。そしてメダル獲得へ。

「この大会を想定して、夏から連戦の練習もしているんです。そういう試合の組み方をして、休みの日の過ごし方、食事の取り方も変わってきています」

 選手たちはこの世界選手権に向けて着実に準備を進めている。東京五輪へ向けて、熊本からさらに大きなステップを踏み出すおりひめジャパンに注目したい。

蒲島郁夫熊本県知事が語る世界選手権。
「逆境の中にこそ夢がある」

 11月30日から、熊本県を舞台に女子ハンドボール世界選手権が開催されます。国内外からお越しになる多くのお客様に、3年半前の熊本地震への支援に対する感謝の気持ちをお伝えし、震災からの復興の歩みを世界中に発信できればと思っています。

 今大会は、熊本県の単独開催です。実は本年1月の男子ハンドボール世界選手権は、ドイツとデンマークの欧州2か国を舞台に開催されています。そんな大規模な大会を「地震で大きな被害を受けた熊本で、しかも単県開催で大丈夫なのか?」という声もあったと聞いています。

 ですが、私は、ためらわずに予定通りに開催をOKしてよかったと思っています。

 先日まで行われていたラグビーW杯は想像以上の盛り上がりでした。熊本でも2試合が開催されましたが、やはりスポーツが持つ力のすごさを感じました。試合を観戦し、日本代表を応援することでみんなが元気づくし、子どもたちがそのスポーツに憧れ、夢を持てる。今回のラグビー日本代表は、私たちに大きな感動を与えてくれる素晴らしい試合を見せてくれました。

 地震からの創造的復興を目指す熊本にとって、ここ熊本を舞台に、世界レベルのスポーツの試合観戦を通して、県民が大きな感動や夢を持てることは何よりも力強いと感じています。

 だからこそ、今大会のおりひめジャパンにも、まずは勝ってほしいですね。なぜラグビーW杯がこれほど盛り上がったか。それはやはり、日本代表が活躍したからです。代表の活躍がすべての盛り上がりの基礎になりますので、おりひめジャパンにもぜひ頑張ってほしいと思います。特に、初戦のアルゼンチン戦が非常に大事だと思うので、万全のコンディションで臨んでほしいし、代表の頑張りは大会の成功にも結び付きます。初戦の勝利が日本全体を元気づけると思います。

 そのためにも熊本県では、選手の方々がベストコンディションで試合に臨めるよう大会運営をスムーズに行い、そして、観戦に来られた方々に「熊本の大会は素晴らしかった!」とご満足いただけるよう、県を挙げての「おもてなし」を行っていきます。

 期間中には熊本県内で96試合が予定されています。熊本には阿蘇・天草といった自然豊かな地域がたくさんあり、温泉も118か所に存在します。今大会を通じて、そういう熊本の魅力にも触れてほしいと思います。熊本のシンボルでもある熊本城も、大会期間中の土日祝日は特別公開が行われます。復旧中の、今しか見ることができない熊本城を見ていただきたいと思います。そして、今大会のPRにも大活躍しているくまモンにもぜひ、会ってもらいたいですね。

 大会中は代表チームも試合の中で逆境や苦しい場面があると思います。でも、そういう時こそ「逆境の中にこそ夢がある」をモットーに、笑顔で勝利を掴みとってほしいと思います。

BACK 1 2 3

ページトップ