“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J2京都FW一美和成がゴール量産中。
宮本恒靖との1対1で学んだ駆け引き。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/11/02 11:30
新潟戦で敗れるも、一矢を報う強烈なシュートを決めた京都FW一美和成。今季16ゴールは、J2得点ランキングで日本人2位の数字だ。
U-23實好監督に教わった基礎。
「ガンバは本当に技術の高い選手がズラリと揃っていて、ボール回しとポゼッションの質が高くて、最初は全然ついていけなかった。J1はおろか、U-23でもなかなかスタメンで出られなくて、ゴールもあまり決められなかった。これまでは身体能力でごまかせていたのですが、もうそれだけでは通用しなくなったことを明確に突き付けられました」
経験が浅い彼にとってこの壁にぶつかるのは当然だった。だが、そこで一美にとって幸運だったのが、指導者の存在だった。1年目、U-23チームを率いていた實好礼忠監督は、彼に徹底して足元の技術を植え付けた。
「1つのトラップ、1つのパスの精度をノリさん(實好監督)に徹底的に教え込んでもらいました」
日本を代表する2人との1対1。
迎えた2年目。U-23監督が宮本恒靖監督(現・トップチーム監督)に代わると、彼はストライカーとしての才能をさらに磨き上げる。
「恒さん(宮本監督)はFWとしてのサッカーの中での動きだったり、試合中の動き出しからのフィニッシュを練習からマンツーマンで教えてくれた」
歴代の日本代表の中でも屈指の名CBが実際にマッチアップして一美に胸を貸してくれたのだ。引退したと言えど、熟練の技と経験はまったく衰えていない。さらにこちらも日本代表経験のある山口智ヘッドコーチも加わった。G大阪の守備のレジェンド2人と1対1を繰り返すことで、その感覚が植え付けられていった。
「2人とも物凄くストイックな人で、現役選手と同じくらい体も動けるし、1対1も全力で一切手を抜かない。ボールを受ける前に体をぶつけてきたり、間合いを開けたりと細かい駆け引きをしてくる。最後のところではスライディングもしてくるし、感じる圧が違った。勝負どころを抑えているのが分かるので、抜き去るのが本当に難しかった。だからこそ勉強になったし、かなり鍛えられました」
得意とするポストプレーと強烈なシュートセンスに、足元の技術と駆け引きが加わったことで、その能力は研ぎ澄まされていくことになる。