“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J2京都FW一美和成がゴール量産中。
宮本恒靖との1対1で学んだ駆け引き。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/11/02 11:30
新潟戦で敗れるも、一矢を報う強烈なシュートを決めた京都FW一美和成。今季16ゴールは、J2得点ランキングで日本人2位の数字だ。
劣勢の中で光った弾丸ライナー。
J2第38節アルビレックス新潟戦、一美は2試合連続のベンチスタートになった。0-2とリードを許した63分にFW宮吉拓実に代わって投入されるも、その後チームは3失点目を喫し、敗色濃厚となった。
「2点ビハインドの状態でシュート本数も少なかったし、みんなどこか消極的になっていたので、流れを変えようとシュートを打つことを意識した。3失点目を喫して、より消極的になった気がしたので、僕が強引にでもシュートを打つことで、ベクトルを前に向けたかった」
その言葉通り、ゴールから離れた位置からでも積極的にシュートを放った。
81分、MF小屋松知哉からクサビのパスを受けると、ファーストタッチで前を向いた。すぐさま左足でボールを前に持ち出すと、ゴール前約25mの位置からダイナミックなフォームで右足を強振。
「スムーズに前が向けたので、シュートとパスどちらも考えましたが、相手が前に出てこなかったので思い切って狙いました」
ブロックに入ったDFにわずかに触れたが、弾丸ライナーの威力は落ちることなくゴール左隅に突き刺さった。
次に繋げる要素を増やしたかった。
さらに後半アディショナルタイム。相手のスローインから猛プレスを仕掛けてボールを奪い取ると、MF仙頭啓矢とのワンツーでカットイン。相手が突破を阻もうとプレスにきたところを、今度はフリーのMF中坂勇哉にダイレクトパス。中坂からボールを預かった仙頭のクロスに小屋松が飛び込む。相手GKのビッグセーブに阻まれたが、一美の成長した要素が十分に詰まったプレーだった。
チームは1-3の痛い敗戦を喫したが、0-3で終わるのとでは、得失点差はもちろん、チームの士気的にも大きく異なる。昇格争いに身を置く京都にとって価値ある1点だった。
「1点も取れずに負けたら『完敗』になって、より大きな痛手になってしまう。0-3になっても、1点を返すことはチームにとって絶対に必要だと思っていました。負けはマイナスだけど、なんとかそのマイナスを少しでも減らしたかった。次に繋げる要素を増やしたかった」