令和の野球探訪BACK NUMBER
ドラフト候補投手を輩出する日体大。
「感覚を掴む」指導と部内改革。
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2019/10/16 20:00
大学日本代表にも選ばれた吉田大喜。150キロの速球とキレのある変化球を操る、完成度の高い注目右腕だ。
「上手くなった理由が分からないと」
先輩・後輩互いが話しかけやすく助言をしやすい空気が出来上がったことで、練習中の投手陣の会話も増えた。辻コーチが大事にするゆとりを持った練習もさらに効果を発揮している。
「僕は、例えば練習が3時間あったとしたら、 “絶対にこれはやりなさい”と指定するメニューは1時間分くらいしかありません。それを1時間で終わらせてもいいし、ゆったり3時間かけてもいいという風にしています」
人によって体力や状態も違う。そのため各々が集中力の高い時、感覚を掴めそうな時にきっちりとやりたいことができるようにしている。
それもまた「指導者が全部時間を指定して上手くなっても、実際に上手くなった理由が分からないと、成功体験を得たことにならないですからね」と、個々の感覚を大事にするからだ。またその中で感覚を選手たちで教え合うことで、より理解も深まっていく好循環が生まれている。
古城監督や辻コーチら指導陣が耕し整備した土壌で、新たな芽が出て、根を張り、幹を伸ばし、次々と大きな花を咲かせている。