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星稜vs.智弁和歌山は“木製バット”。
国体をプロや大学へのステップに。
 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2019/09/28 20:00

星稜vs.智弁和歌山は“木製バット”。国体をプロや大学へのステップに。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

星稜対智弁和歌山は、2019年の甲子園屈指の名勝負だった。木のバットは投手に有利だが果たして影響は?

実戦を木のバットで戦う経験に。

 中谷監督は、国体での木製バット使用の意図をこう話す。

「国体は3年生がメインで出ることになりますが、(3年生の)12人が、木のバットで上を目指す選手ばかりなので。金属バットを持つこと自体、これからの野球ではもうないわけですから。

 今までは3年生で最上級生だったけど、これから彼らは新しい世界で、木のバットでルーキーとしてやっていかなきゃいけない。その前に、実戦を木でやった経験があるのとないのとでは、練習の身の入り方なども全然違ってくると思うんです。

 ここから大学に入学したり、プロに入団するまでの期間を有効に活用するという意味で、国体に出してもらえるということはものすごくありがたいこと。そこで実戦経験を積めるのは幸せなことです。国体は思い切ってチャレンジできる大会なので、うちとしては、選手の次のステップのために、(木製バットで)やりたいと思いました」

奥川に木で挑むタフなチャレンジ。

 甲子園の3回戦で、延長14回3安打1得点23三振と苦しめられた、ドラフト1位候補のエース奥川恭伸をはじめとする星稜の投手陣を、木製バットで相手にするのはかなりタフなチャレンジだ。

 だが、「そのレベル(でやること)を目指している子たちなので。あのレベルの選手は、プロに行けばたくさんいるわけですから」と中谷監督は言う。

 U-18の国際大会のたびに、日本の選手の木製バットへの対応が問題視されてきた。

 その対策の意味も含め、今年4月に、全国から推薦された選手が参加して国際大会対策研修合宿が行われた。そこでの意識づけにより、その後は、日頃から木製バットで練習するようになったという選手が増えた。

【次ページ】 木製バットとの距離を縮めるきっかけに。

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