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エディー・ジョーンズが明かす
嫌われる勇気とチーム作りの真髄。 

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高木麻仁(Number編集部)

高木麻仁(Number編集部)Asahito Takagi

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photograph byGetty Images

posted2019/09/19 08:00

エディー・ジョーンズが明かす嫌われる勇気とチーム作りの真髄。<Number Web> photograph by Getty Images

2012年から2015年までラグビー日本代表のヘッドコーチを務め、2015年からはイングランド代表を率いるエディー・ジョーンズ。

リーダーの役割は、引き出すこと。

 世界一のハードワークと誇るトレーニングを通して、日本チームの能力を世界で戦えるレベルまで引き上げていった。そこには、エディー氏独自のリーダーとしての信条が貫かれていた。

「人間の体、頭脳には驚くべきものがあります。チームからより多くのものを引き出すというのがリーダーの役割です。

 各々のメンバーにどれだけのポテンシャルがあるかは、誰もわからない。だからこそ、リーダーはひとりひとりに対してモチベーションを与え、より能力を引き出すことが大切なのです」

 では、人の能力を引き出し、成長を促すために必要なことは何か?

 この問いに対しても、エディー氏は明確な答えを持っていた。

「成長をするためには、まずはストレスを与えることが必要です。人に対して、チームに対して常に課題を突き付け、チャレンジさせる。

 そしてもうひとつ重要なのが、休息です。常にストレスを抱え続けていると成長はありません。ストレスを与えた後には、休息によってリカバリーする余裕を与える。この2つのバランスをとることがリーダーにとって必要となります」

 ただ、2015年までHCを務めた日本代表チームと、現在指揮を執るイングランド代表チームでは、アプローチの仕方を少し変えているという。というのも、チームとしての実績や個々のフィジカル面において、両者は異なっているからだ。

「イングランドのチームはもともと体格も大きくてタフな選手が揃っています。さらに欧州のリーグで経験も積み、優勝することを期待されている。

 ですから、個々の能力を最大限に引き出すため、心地よくプレーできるようにするために、過度なストレスは与えないように心がけました。ミーティングも15分以上はしません。もし必要な場合は、休息をした後にあらためて行ないます。

 逆に、日本チームには、大きなストレスやプレッシャーを与えることでポテンシャルを上げるというアプローチをとりました。リーダーの大きな仕事は数字面を見ることではありません。選手の振る舞いや心理的な側面を見極め、フィジカル、感情面、社会的な状況も含めてアプローチしていくことが必要なのです」

【次ページ】 リーダーは、人に好かれようと考えてはいけません。

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