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敏腕モンチがセビージャ改革に着手。
ロペテギ招聘、チチャリートも来た。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto Press
posted2019/09/18 11:40
ロペテギの就任、選手の大量入れ替えなど、早くもモンチの手腕が発揮されているセビージャ。走り出しは上々だ。
「まずはロペテギから当たるべき」
まずやったのはチームの客観的分析だ。昨季終盤の8、9試合を観て、補強を要するポジションと不要な選手を見極めた。自分がいない間に入団した選手にことごとく「×」を付けたため、メディアに私情の介入を疑われたが、あくまで自分の考えに従った結果とのこと。
同時に監督選びを進めた。候補を4、5人に絞ってスタッフとともに検討したところ、「まずロペテギから当たるべき」という結論が出た。そこでマドリードにいるロペテギの元へ向かい、彼のサッカーに対する姿勢を問い尋ね、決めたそうだ。
あとは新戦力獲得と要らない選手の放出である。
ひとり1人の名前は『欧州蹴球名鑑』(9月17日発売/文藝春秋)で見てもらうとして、今年の夏セビージャが新たに登録したのは32歳のベテランから20歳の新鋭まで揃った多種多様な14人。反対に、名前を消したのはローン終了で元のクラブへ戻った者を除いても15人。それだけの大人数を動かす勇気も、次から次へと交渉をまとめる手腕も流石だが、一方で今年は売買上手のモンチらしからぬ数字を残している。
「今世紀初めて」の赤字だったが……。
出費がクラブ史上最高の1億5800万ユーロ(約168億円)に達したのは良しとして、収益が1億100万ユーロ(約119億円)しかなかったのだ。セビージャの夏の選手売買が赤字で終わったのは、「おそらく今世紀初めて」と『ディアリオ・デ・セビージャ』紙は書いている。
モンチは自分の責任を認めている。
「チーム作りの方法はふたつある。先に要らない選手を売り、空いた枠に新しい選手を入れるのがひとつ。その反対がもうひとつだ。今年は新しい監督を迎えるだけでなく、新しい選手をたくさん入れることになったから、先にチームを9割完成させ、その後必要ない選手の買い手探しをすることにした。逆を選んでいればもう少し良い値で売れたかもしれないと思っている」
だが、そのおかげもあってのことだろう、セビージャは開幕から4試合負け知らずだ。素晴らしいサッカーをしているとはまだ言えないけれど、チームとして順調に成長している。