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敏腕モンチがセビージャ改革に着手。
ロペテギ招聘、チチャリートも来た。
posted2019/09/18 11:40
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Uniphoto Press
今シーズン、個人的に注目しているのはセビージャだ。
昨年スペイン代表とレアル・マドリーで2度もミソをつけたジュレン・ロペテギの手腕を再確認したいというのもあるが、なにより2年ぶりに復帰した途端、選手の半数以上を入れ替えたスポーツディレクター、モンチの目利きに衰えはないのか確かめたいのだ。
そもそも、モンチはなぜセビージャに戻ってきたのか。
3月上旬にローマとの契約を解除した直後は、アーセナル入りが濃厚と見られていた。実際「セビージャではないクラブに行くことが決まりかけていた」と地元紙で本人が明かしている。ところが、たまたま受けたセビージャからの電話がきっかけとなり、旧知の役員たちと膝を突き合わせて話し合ったところ、提示された新プロジェクトと自分がしばらく前から温めていたアイデアが似通っていることに気付いたという。
セビージャに戻ってきた敏腕。
キーワードは「独自性」である。
「強いチームは偶然の産物ではなく、他人とは異なることをやってこそ作ることができる。他のクラブより多くのスカウトを抱えたり、より多くの大会に足を運んだり、一風変わったトライアルを行ったり……。あの日我々は『また何か違ったことをする必要がある』という話をした。セビージャ流のタレント探しやチーム作りは他のクラブに真似され始めていたからだ」
かくしてモンチは帰郷を決意した。
早速取りかかっている「独自の何か」はもちろん秘密だが、カギは手順の簡略化にあるらしい。
「世界のプロリーグでは毎週末2万人もの選手がプレーしている。我々はできるだけ多くの選手をフォローし、獲得候補とすべき否かをできるだけ早く判断するためのツールを生み出そうと思っている」
しかし、それが活用されるのは未来の話。今季のセビージャはモンチが大急ぎで設計し、必要なパーツを集めて組み立てた。