福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史がW杯予選に求めるもの。
必勝、そして久保建英の「テンポ」。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/09/09 19:00
パラグアイ戦で随所に存在感を見せた久保建英。アジア予選を勝ち抜くために、周囲との連係を高めていきたい。
最高だった2点目の形。
特に2点目の形、最高でしたね。
まずボランチの橋本(拳人)が中央やや左をドリブルで持ち運び、パラグアイの2人を引き付けて中島にパス。その中島がドリブルで中に入っていくことで、また相手の注意を引き付けて、周囲をフリーにする。
堂安がスルーして酒井(宏樹)にボールが渡ると、最後はかく動き直し続けていた南野が酒井のラストパスをダイレクトで合わせました。
これだけ多くの選手が絡んでいて、なおかつ左→中央→右→中央で揺さぶり続けたからこそ。もし南野がどこかのタイミングで止まってしまっていたら、このゴールはなかったでしょう。
「動くことでボールが出てくる」
その意識を誰もが共有しているからこそ、です。言葉にすると基本的なことですよね。ただ、それを実際にピッチで表現できるかが大事なのだなと再確認した崩しでした。
プレー幅が広がった橋本拳人。
この2点目の起点となった橋本は、この日のスタメンで唯一の国内組でした。23人中19人が海外組となった今回のメンバーの中で、攻守ともに存在感を発揮していました。
J1で首位を走っているFC東京でレギュラーを確保している橋本は、ここにきて一気に成長しています。彼の良さはボール奪取力で、積極的に奪いにいくプレースタイルです。それとともに味方と相手の人数、橋本がマッチアップしている相手との体勢を見極めて“行きすぎない”選択ができるようになってきている。この辺りの判断力が上がったな、と同じくボランチだった自分も感じるところです。
判断力、守備力が上がったことでプレーエリアも広がってきました。守備に自信が持ちきれないと「後ろに重たい」、つまり自陣の方に意識が向きすぎる。今の橋本にはその不安がないから、攻撃にも恐れることなく移れる。
ダブルボランチを組む柴崎(岳)との相性もいいです。橋本が上手くバランスをとってくれるから、柴崎もより積極的に攻撃に意識を向けられる。このコンビがどうなっていくか、見ていきたいなとも思います。