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なぜ浦和はACLで大逆転できるのか。
大槻監督「歴史が今のチームの土台」
posted2019/06/27 11:40
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
快勝だった。
ファーストレグを1-2と落とした浦和レッズが敵地韓国へ乗り込んだ6月26日ACLラウンド16対蔚山現代戦。
前半終了間際の41分に先制点を奪うと、後半35分には興梠慎三がこの日2点目をマークする。このまま試合が終われば、浦和が勝ち上がる。スロースターターだった蔚山がようやく攻撃をしかけてきたが、それを突き放す3点目を後半42分に決めてみせた。
2017年に浦和がACL王者に輝いたときも、ファーストレグでの敗戦を力に変え、セカンドレグで逆転し続けてきた。
その手ごたえがあるのだろう。1週間前、ファーストレグ敗戦後、西川周作や槙野智章ら優勝経験者たちは、「ここからACLの醍醐味を味わえる」という空気を漂わせていた。それでも、「前回はすべて第2戦がホームだった。今回はそこが違う」と言い添えることも忘れてはいなかった。
しかし、今思うのは、彼らが見せていた「手ごたえ」は、逆転劇の強さだけではなかった。
「負けた試合を自分たちが活かす」(槙野)
「どうすれば、第1戦で良くなかったところを改善できるのか? その答えみたいなものがわかっていた」と槙野が振り返る。
「1戦目で2失点したなかで、誰が悪いというのではなく、どういう状況でその失点が生まれたかというのを、細かに見直して、話し合った。目をそむけたくなるような部分としっかりと向き合えた。同時にできていた部分の底上げも行えた。そういう1週間を過ごせた。
ボールを奪われたときのリスク管理、ポジショニングについては、1戦目よりもかなり意識した。負けた試合を自分たちが活かす、今日はそういうゲームができた。もしかしたら、第1戦で勝っていたら、こういう対策もできず、アウェイで難しい試合になっていたかもしれない」
相手の強みであるカウンター攻撃を封じただけでなく、ファーストレグから強く意識していたサイドからの攻撃で、3得点を決めたところをとっても、チームとしての上積みが結果を生んだ勝利だった。
「ホームでの試合でも、チャンスは作れていた。そのチャンスを決め切れなかっただけ。でも今日は1つのチャンスを逃さずに決めることができた」(興梠)
この日、興梠は慣れた1トップでプレーし、2得点。ゴールへの臭覚はアジアナンバー1かもしれない。「第2戦は間違いなく全員のハードワークが必要」と語っていたストライカーは、自身も前線で走り切っていた。