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超進学校・日比谷の文武両道とは。
自らも部活顧問を続ける校長の理想。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byWataru Sato

posted2019/05/03 11:00

超進学校・日比谷の文武両道とは。自らも部活顧問を続ける校長の理想。<Number Web> photograph by Wataru Sato

日比谷高校の武内彰校長。「最近は腰が痛くて」と笑いながらも、生徒との試合は全力で勝ちにいく。

文武両道が、部活である必然性はない。

 個人的に日比谷高校の学校説明会に出席したことがあるが、武内校長の話を聞き進めるうち、公立のトップ校は単なる進学実績だけではなく、部活動を含めた形で生徒たちの成長を促していることを強く感じる。

 取材当日にはイギリスのハント外務大臣が来校し、英語で模擬授業を行っていた。その模様をNHKとイギリスのBBCが取材していたが、海外からの要人への対応も含め、武内校長は多忙を極める。

「生徒たちのプラスになることであれば、教職員も全力で取り組みます。生徒たちには全力で取り組むことで、自分の限界を押し広げていって欲しいのです。学校としては、文武両道を掲げてはいますが、なにも“武”の部分がスポーツである必然性はありません。文化部の活動、あるいは校外で勉強以外に夢中になれるものを見つけて欲しいのです」

 高校について、日本のメディアは大学進学実績で取り上げることがほとんどだ。しかし、数字には表れない価値を見逃してはならない。

海外への意欲を持った選手を育てる。

 武内校長は就任してから8年目に入り、経営者としてさらなる高みを目指している。

「ハーバード大学の政治学大学院、ケネディスクールを訪問した時、日本から学びに来ている人がほとんどいないことに衝撃を受けました。一方で、中国、韓国、インドなどから来ている学生は、そこで人脈を作り、それが国益に直結していくことでしょう。

 これはあくまで一例ですが、日比谷では、こうした意欲のある学生を育てていきたいと考えています。幸い、私の赴任当初に比べ、日比谷の求める理念にマッチした、前向きな生徒が入学してきてくれています。これからも学習面では大学、大学院の勉強に備えた土台を作るだけでなく、海外の大学に進む生徒も支援していきます。そして部活動。懸命に取り組めば、きっと人間性に深みを増して巣立っていってくれるはずです」

 30年以上にわたりバドミントン部を指導してきた武内校長の言葉には、重みがある。

 放課後の数時間、好きなことに没頭することは、人生を豊かにする可能性がある。

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