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イチローが驚いた雄星の“大物ぶり”。
あの「ジャージ事件」の真相は?

posted2019/04/20 17:00

 
イチローが驚いた雄星の“大物ぶり”。あの「ジャージ事件」の真相は?<Number Web> photograph by Kyodo News

練習を終え、報道陣の質問に答えるマリナーズの菊池雄星。5度の先発登板で粘りの投球を見せるも、いまだ勝ち星はなし。

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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Kyodo News

 イチローさん引退から1カ月。

 あらためて、日々の取材機会を失い、思うことがある。

『彼ほどに、言葉のひとつひとつに重みのある野球選手はいない』

 そんな時のことだった。

 4月11日、カンザスシティ。

 試合後のクラブハウスで菊池雄星に岩手県の後輩、県立大船渡高校の佐々木朗希投手が高校生最速の163キロを投げたことについて聞いた。映像を見たという彼は興奮気味に話し出した。

菊池が表現した岩手の文化。

「見るでしょう、あれは。やばいですよ。怪物(の表現)を(みなさん)使っちゃダメですよ。彼が基準になると誰にも使えなくなる。なんか新しい名前を考えてください。(安易に)怪物ばかり使うとお化け屋敷になっちゃう」

 怪物からお化け屋敷につなげる発想に大笑い。

 とはいえ、菊池も花巻東高校時代には最速155キロを誇り「みちのくの怪腕」、「モンスター」と呼ばれた。その彼から始まった大谷翔平、佐々木朗希と続く同郷の系譜について、菊池はこんなことを言った。

「花と一緒です。環境が育てる。周りの人たちが温かく見守ることで育てられるんです。そういう文化が岩手県にはあるんです」

 陽を当て、水を与え、愛情を注ぐことで美しく咲く花と岩手の県民性を重ねあわせる秀逸な表現力。

 昨今の岩手県の野球の先駆けとして、今の流れを作ったのは菊池自身であろう。選手の発する言葉には残してきた結果が大きく関係するのだとあらためて感じさせられた。

【次ページ】 イチローが驚いた菊池の“大物感”。

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