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<Dear Ichiro>
王貞治「それがスポーツの厳しさなんだ」

posted2019/04/21 15:00

 
<Dear Ichiro>王貞治「それがスポーツの厳しさなんだ」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

'06年の第1回WBC、王監督のもとで戦ったイチローはこの大会で打率.364を記録。

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph by

Naoya Sanuki

「王貞治としてのバッティングができなくなった」
39年前、引退時にこう語った世界の本塁打王。
自分と戦い続けた男だからこそわかる、イチローが歩んできた道のりの険しさを語った。

 彗星のごとく現れるのがスターの条件だとしたら、イチローはスーパースターそのものだったよね。高校ではそれほど注目された存在ではなかったのに、オリックスで一軍に定着した年に一気に210安打、アメリカの1年目も242安打。3年、4年と経ってからでは見る側はそこまでインパクトを感じないし、スター性においても物足りない。そういう意味で表舞台への登場の仕方からして彼はスーパースターだった。

 WBCでともに戦う以前から、ホークスの監督としてすごさはよく分かっていたよ。とにかく手のつけようがなくて、イチローに打順が回ってきたら神様に祈るしかないぐらいの選手だった。練習ではホームランバッターよりも飛ばすのに、試合になると徹底してピッチャーに返す。それが結果的に三塁寄りに行ったり、一塁寄りに行ったりということでね。ボールの“受け方”が図抜けてうまかった。

「打つ」ということは誰でも考えているんだけど、打撃には打つ前にまず「受ける」がないといけない。球種、スピードの変化で立体的に攻められる中で、ピッチャーのボールを受ける、受け止めてから打つというのが大事。イチローはそれがすごく上手で、今までに見たことのない選手だった。彼自身は変化球を待ちながら真っ直ぐに対応すると言っていたよね。でも、それが一番難しい。どうしても速い球に食い込まれる。バッターの一番の悩みの種で、誰もがそれを乗り越えられなくてやめていく。みんながチャレンジしても乗り越えられなかったものを彼だけ克服できた。本人はそう思っていないかもしれないが、我々から見たらイチローはそこを乗り越えた男だった。

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