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メッシ覚醒から始まったバルサ隆盛。
ジュリが語った「幸福な危機感」。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byGetty Images
posted2019/04/09 17:00
背番号30を背負ったデビュー当時のメッシは、ロナウジーニョが君臨するバルサでのびのびとプレーした。
14年ぶりの欧州王者に貢献したジュリ。
前シーズンにモナコのCL決勝進出に貢献していた小柄なウインガーは、バルサでもいきなり異彩を放つ。
縦への鋭いドリブル突破で崩しの端緒を開けば、エトーに次ぐチーム2位の11ゴールを挙げるなどフィニッシュの局面でも貢献。加入2年目の'05-'06シーズンにはゴール数こそ減ったものの、CLで大仕事をやってのける。一進一退の攻防となったミランとの準決勝第1レグで、決勝点となる先制ゴールを挙げたのだ。
名手ネスタの裏に鋭く飛び出すと、追いすがるカラーゼを振り切り、ロナウジーニョのロビングパスを豪快に左足ボレー。まさにジュリの持ち味が凝縮された一撃であり、この1点を守り切ったバルサは敵地サンシーロで貴重な勝利を挙げた。
カンプノウでの第2レグがスコアレスドローに終わったことを考えても、このゴールがなければ、チームの決勝進出と14年ぶりとなるヨーロッパ制覇は夢と消えていたかもしれない。
「レオは半端じゃなかった」
ジュリは当時29歳と全盛期を迎えていたが、実はその頃から自分がポジションを失いかねない危機感を抱いていた。
そう、若きメッシがメキメキと力を伸ばしていたからだ。後年、ジュリはバルサ公式サイトでこう語っている。
「レオ(メッシの愛称)はトレーニングから半端じゃなかった。だから(彼の成功を)確信していたよ。僕がベンチに追いやられることもあったね。彼には他の選手にないものがある。スーパースターであり、天賦の才があるんだ。10年前からわかっていたよ。彼が世界一の選手になるってね」