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メッシ覚醒から始まったバルサ隆盛。
ジュリが語った「幸福な危機感」。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byGetty Images
posted2019/04/09 17:00
背番号30を背負ったデビュー当時のメッシは、ロナウジーニョが君臨するバルサでのびのびとプレーした。
若き日のメッシ、レンタルもあり得た?
そのメッシが多士済々のバルサでデビューできたのはラ・マシアで磨いた才能もさることながら、チームが改革期でもあったからだろう。
クライフと密なつながりがあった当時のラポルタ会長('03年に就任)の元、優秀な外国人とカンテラーノの融合による強化を推進。もし宿敵マドリーのようなスーパースター至上主義の方策を講じていれば、若きメッシが他のクラブにレンタルされる可能性もゼロではなかったはずだ。
そして'06-'07シーズン、ジュリの予想は現実のモノとなった。メッシがレギュラーの座を完全に掴んだのだ。
以降の活躍は全サッカーファンの知るところだろう。リーガ、バルセロナ、クラシコにおける最多得点記録を塗り替え、リーガでは前人未到の10年連続20ゴール超えの金字塔を打ち立てた。今シーズンもすでに33得点。その大記録を「11年連続」に伸ばしている。
衰え知らずのスーパースター。
31歳になっても衰えるどころか、メッシの凄みはむしろ増すばかり。CLラウンド16のリヨン戦・第2レグで2ゴール・2アシストと圧倒的な活躍を見せれば、敗色濃厚だったビジャレアル戦では故障明けながらチームを救う(終了間際に1点差に詰め寄るFK弾)など、並の選手ならシーズンハイライトになるようなパフォーマンスを毎試合のように披露している。
もちろん、バルサはメッシだけのチームではない。ルイス・スアレスはリーガ2位の20ゴール、ウスマン・デンベレとコウチーニョは公式戦でのゴール数を二桁に乗せている。それでも、頼れるキャプテンの活躍なくして4シーズンぶりの欧州制覇は考えにくい。