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オープナーは日本球界に浸透するか。
実現条件と挑戦に対する日米格差。 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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posted2019/03/29 08:00

オープナーは日本球界に浸透するか。実現条件と挑戦に対する日米格差。<Number Web> photograph by Getty Images

昨年5月19日のエンゼルス戦で「オープナー」として初回のマウンドに上がり、1イニングを三者三振に抑えたレイズのクローザー・ロモ。

「1回」と「7回」を交換?

 先発投手は基本的に週1登板。だから昨シーズンの各球団の先発と救援の投球イニング割合は、最低のDeNAでも先発は平均5.28回、59%を投げている。最高の巨人は6.18回、69%。一軍投手13人制だとすると7人で残り30~40%を分担している。ただし、NPBでは出番に備えての準備投球の多さが蓄積疲労につながっており、オープナーを頻用して救援の持ち分を増やすわけにはいかない。

 現実的な方法としては、本来の先発には2回から7回までを任せる。

 つまり、元々7回を担当する救援投手が、1回と「交換する」と考えれば、理論上はオープナーは機能する。もしくは先発を5人に減らし、救援を増やす。登板間隔を詰める代わりに、分担イニングもオープナーを入れることで少し減らす方法もありそうだ。

 ブルペンデーに関しては3月18日のプレシーズンゲーム(マリナーズ戦)で巨人が挑戦した。若手有望株を中心に、救援投手だけで1試合をまかなった。

 また'07年のオールスター第1戦では、全セを指揮した落合博満監督が上原浩治(巨人)、高津臣吾(ヤクルト)、林昌範(巨人)、木塚敦志(横浜)、岩瀬仁紀(中日)、黒田博樹(広島)、久保田智之(阪神)、マーク・クルーン(横浜)、藤川球児(阪神)と史上最多の9人継投を実行した。

 これはオールスター直前の試合で、誰がどう登板するかをあらかじめ予測するのが難しかったために編み出した苦肉の策だ。ファン投票で先発部門1位だった黒田の負担を考慮し、1イニングに限定。それ以外は救援投手で固めた。ちなみにこの試合は上原が1安打打たれた(1死球)のみで、それ以降は全パの打者に出塁さえ許さずに完封した。オールスター級の投手でブルペンデーをやればこその結果かもしれない。

オープナーを試す監督は現れるか。

 大谷の二刀流を例外として、NPBは概してMLBよりも顕著に保守的だ。

 先発投手が1回に四苦八苦している現状はあまり気にせず、新たなことに挑み、結果が出なかったときのリスクは気にする。そこには挑戦に寛容かどうかという国民性も関係しているだろう。

 ちなみに昨シーズンのレイズは5年ぶりに貯金することができた。いいかどうか、日本に合うのか合わないのか。やってみないとわからない。

 NPBも今季は一軍登録人数が1人増えるだけに、まずはオープナーの可能性だけでも探ってみよう。そんな監督がいてもいいと思うのだが。

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