野球のぼせもんBACK NUMBER
サファテ不在のソフトバンク。
気になる加治屋蓮の回復状況。
posted2019/03/29 07:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
「野球は投手力」が定説だ。特に現在のプロ野球においては「勝利の方程式」の力量が順位にそのまま反映されると言っても大袈裟ではない。
たとえば、昨年のパ・リーグを制したライオンズも強力打線に目が行きがちで、それが優勝の要因になったことは間違いないが、シーズン途中にヒースや小川龍也が加入しブルペン陣が整備されたことが実のところは大きかった。
さて、今年のソフトバンクはどうなのか。
サファテと森唯斗のダブルストッパー構想。ほんの少し前まで、それは今シーズンの目玉のように取り扱われていた。しかし、一昨年のMVPでプロ野球新記録の54セーブを打ち立てた右腕は開幕一軍メンバーにいない。
3月23日、首脳陣と話し合ったサファテはファームで無期限調整することが決まった。報道陣に自ら事情を説明。
「開幕に間に合わせるつもりでやってきたが、11カ月のブランクは思ったよりも長く、思い描いた動きが出来ていないし、ボール自体も万全とは言えなかった」と話し、「もう少し時間が必要だ。メカニックの部分。次にいつ試合で投げるとは決めていない。僕が投げるのは7回のマウンドではないし、140キロ台の真っ直ぐではない。自分に値する状態になったら戻ってきたい」と努めて明るく言葉を発した。
サファテ完全復活はまだ先。
キャンプ中から前向きに取り組んできたサファテだったが、状態が上がっていかないのは誰の目にも明らかだった。やはり股関節の手術をした影響からか下半身の動きが以前とは全く違っていた。筆者には内転筋が弱っているように映った。
表現が難しいが、良い球を投げる投手というのは、体重移動で足を踏み出していく際に、それまでギュッと絞って溜めていた下半身の力を解放していくように見えるのだ。今のサファテにはそれがない。内転筋は鍛えるのが特に難しい部類とされる。
術後のリハビリに懸命に取り組んでいたのは彼のインスタグラムを見て知っていたが、それでもまだまだ時間を要するということだ。サファテ自身も中途半端な復帰を望んでいないのだから、相当な時間を費やしてでも元の姿に近い彼の投球を再び見たいと願っている。