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ゴルフは「曲げてでも、飛ばせ」?
世界のトップ30を飛ばし屋が占拠。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2019/03/10 08:00
日本では大柄な松山英樹も、アメリカツアーでは普通の体格。中央のバッバ・ワトソンもかなりの飛ばし屋である。
マキロイは「飛ぶけど、曲がる」選手。
苦しみは第1打から始まる。「飛んで曲がらない」選手はそうはいない。先述のマキロイは、昨季のフェアウェイキープ率は55.79%とツアー全体で163位と低調だった。「飛ぶけど、曲がる」プレーヤーの代表格と言っていい。
ただし、昨今のトップ・オブ・トップに入る選手たちの多くはこの傾向にある。昨季のPGAツアーのフェデックスポイントランキングで上位30人に入った選手のうち、ドライビングディスタンス部門上位10人に入ったのは6人いたが、フェアウェイキープ率部門での10位以内は1人だけである。
〈2017-18年PGAツアー フェデックスカップポイント上位30人〉
選手名 飛距離部門の順位/フェアウェイキープ率部門の順位
J.ローズ 34位/33位
T.ウッズ 32位/127位
B.デシャンボー 25位/92位
D.ジョンソン 6位/125位
B.ホ―シェル 100位/17位
T.フィナウ 4位/174位
J.トーマス 11位/138位
K.ブラッドリー 65位/15位
B.ケプカ 8位/155位
B.ワトソン 9位/142位
W.シンプソン 117位/90位
C.スミス 81位/151位
松山英樹 49位/83位
R.マキロイ 1位/163位
X.シャウフェレ 28位/124位
J.デイ 14位/141位
R.ファウラー 61位/40位
F.モリナリ 52位/46位
T.フリートウッド 23位/49位
P.カントレー 38位/98位
P.ミケルソン 57位/189位
P.リード 83位/173位
J.ラーム 16位/129位
A.ワイズ 40位/73位
P.ケーシー 31位/78位
G.ウッドランド 7位/66位
K.スタンリー 98位/7位
K.ナ 157位/62位
M.レイシュマン 80位/117位
P.キザイア 77位/165位
トップエリート30人の中で、飛距離部門でトップ100を外したのは2人に対し、フェアウェイキープ率部門では半分の15人が100位にも入らなかった。
10年前とは傾向が大きく変化。
これを10年前のデータと比べると傾向は顕著になる。'08年シーズンの“エリート30”のうち、飛距離部門の100位以内を外した選手は13人もいた。当時は今ほど飛距離を武器にしていなくても、トッププレーヤーの称号を手にしやすかったといえる。
ちなみに今季は17試合を終えた時点で、15人の優勝者が誕生したが、彼らのうちフェアウェイキープ率部門でトップ10にいるのは6位のマット・クーチャーだけ。10人は100位以下である。パワーと正確性がトレードオフの関係にあるとすれば、超一流と言われる選手の多くは正確性をある程度犠牲にしてでも、まず距離でアドバンテージを取るタイプが多い。
曲げるリスクを負ってでも、飛ばしにかかる。トラブルを招いても、そこからリカバリーに全力を尽くす。