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<大会組織委員会会長に聞く>
御手洗冨士夫「オールジャパンで、次の世代へ」
text by

瀬尾泰信(Number編集部)Yasunobu Seo
photograph byShigeki Yamamoto
posted2017/06/26 08:00

何年かぶりに腹の底から快哉を叫びました。2015年9月、イギリス・ブライトン。強豪南アフリカに何度リードされても食らいつく日本代表。最後の大逆転勝利の場面では、すべての観客が熱狂のスタンディング・オベーション。純粋に素晴らしいプレーで勝利した者への賞賛です。私の席の前にいた南アフリカのラグビー協会会長夫妻も、しばし落胆ののち「おめでとう」と声をかけてくださり、握手で別れました。まさにノーサイド。胸が熱くなりました。
あの興奮が、あと2年3カ月で日本にやってくる――そう思うと、今、組織委員会の会長という立場でそのお手伝いができることを、本当に嬉しく思っています。
私とラグビーとのご縁は、1980年にキヤノンがラグビー部を創設した時から始まっています。関東社会人リーグで力をつけ、現在ではキヤノンイーグルスとしてトップリーグで戦っています。このスポーツは知れば知るほど奥が深く、あっという間にのめり込みました。知力、体力、戦略、団結力、フェアプレー、規律、勇気、そして試合が終わればノーサイドで敵味方なく健闘を称え合う精神性。企業スポーツという意味でも、社員のモチベーション向上やアイデンティティの確立、人間力の涵養に大いに役立ちます。本当に素晴らしいスポーツです。
日本では、長らく野球が国民的人気を得ており、その後サッカーがプロリーグとW杯を契機に根付きました。いよいよラグビーの番です。今回のW杯を、ラグビーがこの国でさらに支持を受け、広がっていくきっかけにしなければなりません。また、アジアで初開催ということもあり、このスポーツの素晴らしさをアジア全体にも伝えることができるチャンスでもあります。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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