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エンタメ興行『マッスル』大爆発!
ネタ満載の中の“リアル”とは?

posted2019/02/24 08:00

 
エンタメ興行『マッスル』大爆発!ネタ満載の中の“リアル”とは?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

メインを終えて肩車されるDJニラ(写真左)とアントーニオ本多、彼らを讃えるマッスル坂井(中央)。彼らにしか作ることのできない空間だった。

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 DDTから派生したブランド(イベント)の中でも、とりわけエンターテインメント色が濃く、端的に言えばふざけているのが『マッスル』である。

 DDTの映像スタッフからレスラーになったマッスル坂井がクリエイトする『マッスル』では、プロレスの興行なのに大喜利対決が行われ、選手に観客ぐるみのドッキリが仕掛けられる。

 スケートを模した「フィギュアプロレス」では試合を終えたレスラーがキス&クライで得点発表を待ち、連続興行の2日目が「追加公演」として開催されたことも(2日続けて同じベルトの“初代王者”が誕生した)。

 そういう“エンタメプロレス”の中で、登場人物たちはリアルな感情をさらけ出しもする。坂井が「台本(があると明言されているのだ、このイベントは)を書けない」こと自体がテーマにもなった。

 エンターテインメントの中にあるリアルな人間ドラマ。それはプロレスというジャンルそのもののことなのだが、坂井はそうは言わない。たぶん気まずいからだろう。

 2010年10月、『マッスル』は一旦その幕を閉じる。坂井は引退し、故郷の新潟に帰った。実家の金型工場「坂井精機」を継ぐためだ。結婚して、子供も生まれた。

 しかし気がつくとDDTにはスーパー・ササダンゴ・マシンなるマスクマンが登場するようになっていた。人前で平気でマスクを脱ぐ、覆面レスラー道にもとるこの男の正体は言わずもがな。

 試合前に見所や作戦を解説する“煽りパワポ”が人気となり、芸能事務所に所属してテレビでレギュラー番組を持つようにもなった。「マッスル坂井」としても、DDTのドキュメンタリー映画を監督している。

チケット3万円の『マッスル』って?

 そして今年、久々に『マッスル』が本格的な復活を果たすことになった。2月16日、会場は初進出の両国国技館。これまで最大の会場が後楽園ホールだったから、規模としては5倍にもなる。とてつもない冒険が決まったのは、DDT両国2連戦の初日を、“大社長”高木三四郎に「丸投げ」されたからだった。

「大きい会場でやるのは、プレッシャーじゃなくチャンスだと思いました。両国でやること自体がドラマになり、仕掛けになるので」と言う坂井を苦しめたのは、会社から決定事項として伝えられた料金設定だった。最も高価な席(最前列のさらに一部)が特典つきで3万円、升席前方で1万500円である。

「その値段に見合うコンテンツを提供できるのか、と。これまでの『マッスル』は5000円でやってたんですから。チケット代2万円とか1万円ってどういうことかというと、歌舞伎座のいい席で歌舞伎が見られるんです。宝塚や明治座のお芝居も、人気のある劇団の公演も。最高級のエンターテインメントと同じ金額の『マッスル』ってどういうものなんだってメチャクチャ悩みましたね」

【次ページ】 メインストリームではない選手たちの集合。

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