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マサ斎藤追悼大会に大物たちが集結。
レスラーの鑑だった一匹狼の生き方。

posted2019/02/26 17:00

 
マサ斎藤追悼大会に大物たちが集結。レスラーの鑑だった一匹狼の生き方。<Number Web> photograph by Gantz Horie

マサ斎藤追悼大会でのワンシーン。ゆかりあるレスラーたちが名レスラーを偲んで集った。

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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Gantz Horie

 昨年7月に75歳で亡くなったマサ斎藤さんの追悼大会「MASA SAITO MEMORIAL~GO FOR BROKE!FOR EVER!~《闘将・マサ斎藤 追悼試合》」が、2月15日に大阪・城東KADO-YAがもよんホールで開催された。

 東京都中野区出身で、晩年は埼玉県在住だったマサさんの追悼興行が大阪で行われたのには理由がある。本来この大会は長年、難病として知られるパーキンソン病と戦ってきたマサ斎藤の“復帰戦”の舞台となるはずだったのだ。

 マサさんは、今から2年3カ月前の2016年12月2日に、同所で行われた元・新日本プロレス取締役の上井文彦氏主催興行「STRONG STYLE HISTORY~GO FOR BROKE! FOREVER~」でもリングに上がっている。

 当時のマサさんは、すでにパーキンソン病が進み、普段は立ち上がるのも一苦労の状態。それでもファンの前で挨拶をするために、花道の奥で車椅子を降り、自分の足でゆっくりとリングに向う。そして言葉を絞り出すように挨拶を始めた。

 すると、そこにホッケーマスクを被った“海賊男”が突如として乱入してきた。海賊男といえば、1987年3月26日に大阪城ホールで行われたアントニオ猪木vs.マサ斎藤戦に乱入し、暴動騒ぎを起こした張本人。その因縁の相手が、再び大事なイベントをぶち壊しにやってきた格好だ。

武藤とマサさんの感動シーン。

 海賊男は、立っているのもやっとのマサさんに対し蹴りを入れ、さらに凶器の傘で容赦なく攻撃を加えた。状況を理解した客席から、期せずして「斎藤」コール、「ゴー・フォー・ブローク!」コールが巻き起こる。

 その声に応えるようにマサさんは何度蹴られても自力で立とうとする。そしてついに立ち上がり、チョップで海賊男をなぎ倒すと、強烈なストンピングを連発。たまらず海賊男がマスクを取ると、その正体は武藤敬司。マスクを被って大先輩の“対戦相手”を買って出たのだ。そして両者はガッチリと抱き合った。

 動けないはずのマサさんの奮闘は大きな感動を呼んだ。ファンの声援を受けて立ち向かうことで、根っからのレスラーであるマサさんの本能を呼び起こしたのだ。“リングの魔力”は本当に存在するのである。

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