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エンタメ興行『マッスル』大爆発!
ネタ満載の中の“リアル”とは?
 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2019/02/24 08:00

エンタメ興行『マッスル』大爆発!ネタ満載の中の“リアル”とは?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

メインを終えて肩車されるDJニラ(写真左)とアントーニオ本多、彼らを讃えるマッスル坂井(中央)。彼らにしか作ることのできない空間だった。

両国国技館でふざける最高の人生。

 マイクを握ったアントンは、渡辺哲を「生物学的に本多宗一郎(アントンの本名)の父」と紹介した。そしてマッスル坂井を「アントーニオ本多の父親」だと言った。学生プロレスのリングで試合をしていた「アントニオ本多」を『マッスル』に誘い、リングネームに「ー」を付け加えて新たなキャラクターに仕立てたのが坂井だったのだ。

 映画を愛し、音楽を愛し、自らを「ロマンチズムの奴隷」と呼ぶシャイな41歳は言った。

「14年前にあなた(坂井)と出会って、武蔵野美術大学の中央広場で挨拶しあって、14年後ここで、両国国技館で、また一緒にふざけたことができている! 俺はそんな人生が大好きで、本当にみんな最高だ、ありがとう!」

“本多宗一郎”がアカデミー賞を取る日。

 アントンやニラのような“天才”に支えられているのが『マッスル』なのだと伝えたかった。坂井はそう語っている。これがアントンの、いや本多宗一郎の人生を変える節目になってほしいと考えてもいる。それが「アントーニオ本多」を生み出した者としての願いなのだ。

「マッスル両国がきっかけになって、後に本多宗一郎がアカデミー賞を取るかもしれないよって。彼はもともと演劇もやってましたから。今は“アントーニオ本多役”をやってるんです。

 アントーニオ本多はリングの上でしか生きていけない。それはみんなそう思ってます。でもそれは、彼がアントーニオ本多役に没入しすぎてるから、うまく演じすぎているからじゃないかと。そうなったのは、僕が『マッスル』に誘ったから。僕は本多宗一郎の、ありえたはずの別の可能性を潰してしまったかもしれないんですよ。

 彼は一流レスラーであると同時に一流のエンターテイナー。大舞台が似合う男だと、この大会で気付いてほしかった。誰かに見つけてほしいんです、“本多宗一郎”を」

 今大会の正式名称は『マッスルマニア2019 in 両国~俺たちのセカンドキャリア~』である。ここでの「セカンドキャリア」は、おそらく「第2の人生」というより「もう1つの可能性」という意味だ。坂井のセカンドキャリアは「坂井精機次期社長」になる。

 大会後、観客には坂井精機製作のササダンゴ・マシンミニフィギュアがプレゼントされた。

 人生の節目を演出するセレモニーの後だけに、きっと“引出物”だったんだろう。となると、いつもより高いチケット代はご祝儀か。

「結婚式みたいなものだとすれば、まあ最高3万円もアリなんじゃないかと。そう思ってもらえたら(笑)」(坂井)

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