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オシムから森保Jへ愛ある叱咤激励。
「アジアをリードすべきだからこそ」

posted2019/01/28 12:25

 
オシムから森保Jへ愛ある叱咤激励。「アジアをリードすべきだからこそ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

5試合連続で1点差勝利を飾った森保ジャパン。ただオシムはアジアでの戦いでより存在感を放ってほしいと話している。

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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Takuya Sugiyama

 日本がベトナムをかろうじて振り切ったアジアカップ準々決勝をイビチャ・オシムはどう見たのか。試合直後にオシムに話を聞いた。

相手を警戒し過ぎたのは残念。

――簡単な試合ではなかったです。とりわけ前半はそうでした。

「たしかにこういう試合は難しい。両チームとも何としても勝ち上がりたいと思っている。だからどちらも緊張して手堅くなりリスクを冒そうとはしない。

 技術的にはちょっと酷かった。日本は意味もなくボールを失い過ぎた。

 相手に合わせてしまうのは、敬意を抱いているからだ。お互いに相手に敬意を払った……ということなのだろう。日本も、自分たちの方が能力的に優れているにもかかわらずサッカーそのものが消極的だったのは残念なことだ。

 両チームともに守備に重きを置き、途中でテレビの前から離れたくなるような展開だった。相手を警戒しすぎて、終始積極的ではなかったからだ。リスクを冒して何かをしようとする気がなかった……本当に残念だ。

 この日本代表はもっといいプレーができるはずだ。

 的確なプレーが正確にできるはずだし、やらねばならないと感じている。しかも危険なプレーを、だ。そもそも、どんな試合でもリスクを冒さずに勝つことはできないのだから。後ろに留まって何もしないのでは、何よりも観衆が満足しない。

 私も満足できなかった。私は日本が技術でベトナムを凌駕すべきだと思っていた。技術で上回れば勝利も得られる。だがこの試合はそうではなく、逆に日本の酷さをベトナムに突かれる場面がしばしば見られた。

 日本は自分たちを過信しているように見えた。

 しかも、試合運びがうまくいかずに、ピッチ上でどうしていいかわからないようだった。トップクラスの選手がひとりふたりは必要だ。パスを供給できる選手、ドリブルで相手の守備を崩せる選手、そしてゴールを奪える選手が」

――そうかも知れません。

【次ページ】 技術的な優位を示していない。

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