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高校サッカーのキャプテンマークは
CBとボランチだらけ。全48校調査!
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2019/01/08 08:00
ベスト4進出を果たした瀬戸内のキャプテン、佐々木達也。10番で2列目というレアケースだ。
闘将で思い浮かぶのは……。
予想通り一番多いのはセンターバック、それに肉薄するのがボランチだった。一方で少ないのは得点を狙うストライカー、サイドを上下動するサイドバック。どちらもその役割に集中するためには、周囲に指示することまで託すのはさすがに……と考える監督が多いのだろうか。
考えてみれば、高校に限らずサッカー界で「闘将」と評される選手はセンターバックが多い。古くはベッケンバウアー、そしてバレージ、プジョル、ジョン・テリー、セルヒオ・ラモス。彼らがチームメートを鼓舞する姿はサッカーファンならすぐ思い浮かぶだろう。
これは世界に限らず、日本も同じだ。
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森保一監督が率い、アジアカップに臨む日本代表もキャプテンはセンターバックの吉田麻也が務めることが濃厚だ。またオフトジャパンの時から振り返ってみれば、柱谷哲二、井原正巳、宮本恒靖、中澤佑二と名センターバックがキャプテンを務めてきた印象が強い。
中澤の後は長谷部誠という絶対的なキャプテンがいたが、彼はボランチである。長谷部を筆頭格にボランチにもドゥンガ、ロイ・キーン、小笠原満男など、チームを引っ張るキャラの選手は容易に思い浮かぶ。やはり、この2ポジションは「全体を見渡せる」からこそ、洋の東西を問わずキャプテンに任命されやすいのだろう。
一歩引いた視点で全体を見る。
高校選手権に話を戻そう。今回取材した主将の中で印象的だったのは帝京長岡のセンターバック、小泉善人だった。
小泉を含めた3年生が「1つ下の代の方がうまい」と認める一方で、その2年生から「キャプテンを引退させないよ」と試合前に声が挙がるなど、リスペクトされていた。一方で小泉本人もキャプテンとしての振る舞いを考え続けた1年間だったそうだ。
「1人ひとりへの伝え方、伝え過ぎないようにあえて言葉を止めること、言葉の強度をそれぞれの性格を見て意識し続けていました。そういうところを積み重ねたからこそ、お互いに通じ合える、分かり合えたチームになったのかなと思います」(小泉)
こういった機微に気づけるのはやはり、一歩引いた視点で見られるセンターバックやボランチならではなのかもしれない。