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ガンバの逆襲は「簡単ちゃう」。
今野と遠藤の後継者を今度こそ。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/01/05 11:00
見事な采配でガンバを立て直した宮本恒靖監督。就任2年目の2019年はさらなる手腕が問われる。
高「今さんと僕とでは何が違うのか」
とりわけ守備重視のプリメイロ(第1)・ボランチとして期待がかかるのはプロ3年目を迎える高である。
「トップで一緒にやらせてもらって、改めて今さんとヤットさんの凄さが分かりました。ただ、僕にとっても来年は勝負の年。あの2人を脅かさないといけない」と言い切るその目はギラついていた。
一向にチャンスをもらえなかったクルピ前監督に「自分に何が足りないのか教えてほしい」と直訴したり、遠藤とコンビを組んだ際には「今さんと僕とでは何が違うのか」と尋ねたり、向上心と野心の塊である高の独り立ちは、来季のガンバ大阪の鍵を握っている。
「瞬間最大風速」を超えるために。
クルピ前監督時代は不当な評価を受け続けた矢島にとっても、真価を見せるべきシーズンになるはずだ。遠藤のバックアッパーとして期待されている彼にとり、幸いなのは宮本監督の存在である。
ブラジル人指揮官からは戦力にならないと早々に見なされ、ガンバ大阪U-23のオーバーエイジ枠としてJ3のピッチに立ち続けた。奇しくも高とボランチコンビを形成した5月6日の沼津戦は、2人がそれぞれの持ち味を存分に出した一戦だった。
リーグ最少失点の沼津に対して3-0で快勝。ボランチのポジションで絶妙な縦パスを連発した矢島について指揮官は「ボランチでやっているときのボール奪取であったり、ゲームを動かす力であったり、IQというか、サッカー感覚の良さが出ると改めて感じた」。
浦和から大阪へやってきた直後、矢島は「ガンバはビッグクラブ。ここで試合に出ながら、成長したい」と決意表明していた。
ガンバ大阪は、前線に多士済々のアタッカーを揃え、生命線である2列目についてもブレークした小野瀬康介や、新加入の田中達也など層の厚みを見せ始めている。
「瞬間最大風速」の凄みは9連勝中に証明済みだが、長丁場のシーズンを乗り切る上でやはり、鍵を握るのはボランチ陣の底上げである。
36歳の守備の達人と、39歳のパス職人におんぶに抱っこでは、「奪還」はとてもおぼつかない。