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日本人クライマーがタフになった2018年。
“個”の力を伸ばして、「2020年」を目指せ!
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph byAFLO
posted2018/12/21 11:00
W杯マイリンゲン大会ボルダリング女子決勝(2018/04/14)野口啓代、野中生萌
ヘッドコーチが明かす方針の意図。
今季はリードW杯で田中修太や本間大晴、平野夏海といったリード種目の若きスペシャリストたちが活躍した。こうした強化ができたのも、東京五輪の恩恵で数多くの企業からスポンサードを受けている現状があればこそ。支援継続が期待できる間に、2019年も個別種目の強化を進めたいという思惑がある。その意図を安井ヘッドコーチは次のように明かす。
「2024年パリ五輪でスポーツクライミングが実施される可能性がある以上は、そこに向けた準備を今からしておきたいんです。実施が決まってから強化を始めたのでは時間が足りないし、コンバインド以外の単種目もすべて実施された場合には、すべてで金メダルを獲りたい。そのために来季も予算が許す限り、個別の種目ごとの強化もしたいと考えています」
スポーツクライミングがパリ五輪で実施されるには、IOCが定めるオリンピック28競技のうちの中核25競技以外の3競技との入れ替えが行われるか、もしくは東京五輪と同様に開催都市ごとに決める追加種目に選ばれるしか道はない。
フランスはスポーツクライミング発祥国ではあるものの、オリンピックの開催には経済力などが影響するため、情緒的な理由だけで簡単に決まりはしない。だが、それでもすべてのスポーツクライミングに携わる人たちは、2024年の開催にむけて、継続的に努力と準備を進めている。
オリンピックによって大きな転換期を進んできたスポーツクライミングは、2020年東京五輪と、その先の未来に向けて大きな一歩を、2019年1月26日・27日の『ボルダリング・ジャパンカップ』から、いよいよ踏み出していく。