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日本人クライマーがタフになった2018年。
“個”の力を伸ばして、「2020年」を目指せ!
posted2018/12/21 11:00
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph by
AFLO
「選手たちはタフになってくれました」
日本代表を率いる安井博志ヘッドコーチは、今シーズンの選手たちの成長に目尻を下げる。
今年はボルダリング、リード、スピードの『W杯』と『大陸選手権』に加えて、2年に1度の『世界選手権』や、初めて実施種目になった『アジア大会』、東京五輪を見据えて新設された『コンバインド・ジャパンカップ』と例年以上の大会が行われた。
こうしたハードスケジュールを乗り越えるのに“体力的なタフさ”は欠かせないものだったが、安井ヘッドコーチを喜ばせた成果はそれだけではない。
2020年東京五輪でのスポーツクライミングは、リード、スピード、ボルダリングの3種目からなるコンバインド(複合)種目で実施される。日程は2020年8月4日~7日の4日間。“灼熱”の気候が予想されるなかで、予選で3種目に挑み、8位以内になれば中1日で行われる決勝で再び3種目を戦い抜くことになる。
そこを見据える安井ヘッドコーチは、「選手たちには回復力を含めたタフさだけではなく、どんな環境にも動じないメンタル的なタフさも身につけてもらいたい」と望み、大会をひとつ終えるごとに心身ともに逞しさを増していった選手たちに「手応えを感じた」と振り返る。
「今季は多くの選手がボルダリングW杯やリードW杯と併催されるスピードW杯にも出場しました。最初は2種目を戦うのは心身ともに疲弊するので、選手たちは『ボルダリングに集中したい』と、スピードW杯には出ようとしませんでした。でも、実際にスピードW杯にも出たことで、彼らの意識は高い次元に向かうようになり、精神的に強くなってくれました」
そうしたなかで挑んだ今シーズンのボルダリングW杯全7戦では、野中生萌が優勝1回、2位6回の安定した成績で年間王者のタイトルを獲得。野口啓代も2015年以来の優勝を手にするなど3勝をあげて年間ランク2位と、過去4度の年間女王の復活を印象づけた。