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レスター奇跡の優勝から3年の今。
オーナーの遺志と愛すべき中堅。 

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吉江武史

吉江武史Takeshi Yoshie

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photograph byUniphoto press

posted2018/11/21 10:30

レスター奇跡の優勝から3年の今。オーナーの遺志と愛すべき中堅。<Number Web> photograph by Uniphoto press

ビチャイ氏を追悼するTシャツを着用したレスターの選手たち。クラブに愛されたオーナーだった。

奇跡の日々は過去のこと。

 変わりゆくレスターは、かくして若い力をもって「奇跡」の日々を忘れようとしている。それは決して悪い意味ではない。日進月歩のプレミアリーグ、そして欧州フットボールの世界では、立ち止まることが決して許されない。

 過去の栄光に酔ったまま変化を怠れば、いわゆる「ビッグ6」以外の中小クラブなんて、あっという間に波に飲まれて2部リーグ、下手をすれば3部リーグまで転がり落ちてしまうだろう。

 実際、サンダーランドのように名門の1つに数えられながら、2年連続の降格で3部まで落ちてしまったクラブもある。

 だからレスターは変わろうとしているし、その中での昨季9位、今季ここまで10位という成績はまずまずだ。そうやって中堅クラブのあるべき姿を模索しながらトップリーグに長く在籍し、「ビッグ」ではなくとも一名門としての“格”を少しずつ上げて持続可能な組織作りをしていくことこそ、中堅クラブが強く生きる道だ。

相思相愛の外資系オーナー。

 きっと、不慮の死を遂げたオーナーのビチャイ・スリバッダナプラバ氏だって、永続的にプレミアリーグの舞台でファンに応援されるレスターを見ていたかったに違いない。

 去る10月27日、キングパワー・スタジアムのピッチから飛び立ったヘリコプターの墜落事故によって同乗者とともに逝去したビチャイ氏は、心からレスターというクラブを愛していた。そして、サポーターや選手、クラブスタッフも間違いなく、笑顔がトレードマークの名物オーナーを愛していた(それは2015-16シーズンに優勝する前からだ)。

 過密日程の合間を縫ってタイでの葬儀に参列した選手・スタッフの姿や、数千人ものファンがスタジアムへと献花に訪れ、スタンドで追悼の横断幕を掲げた様子を見ると、イングランドの「外資系」オーナーで、あれほどまでにローカルと相思相愛の密接な関係を築いた例が他にあっただろうかと驚かされる。

【次ページ】 父の遺志を引き継いでいく。

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