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レスター奇跡の優勝から3年の今。
オーナーの遺志と愛すべき中堅。
posted2018/11/21 10:30
text by
吉江武史Takeshi Yoshie
photograph by
Uniphoto press
今からちょうど3年前の今日、2015年11月21日。ジェイミー・バーディーが先制点を決め、岡崎慎司がダメ押しの3点目を奪ったニューカッスル戦(3-0)の結果を受けて、レスター・シティの名前が順位表の一番上に記された。
それは、プレミアリーグの歴史に残る“おとぎ話”のプロローグだった。
この日以降、クラブにはレスターの地元メディア以外からも取材が殺到するようになり、その数はシーズンが終わるまで増え続けていった。そして開幕時点では「5001倍」だった優勝オッズは「101倍」まで下がり、こちらの数字は翌年5月まで減り続けていくことになる。
その道中では、バーディーがリーグ新記録となる11試合連続ゴールを達成し、チームはチェルシーを破ってジョゼ・モウリーニョのクビを飛ばした。
リバプールも、マンチェスター・シティも撃破して首位の座を着実に固めていき、最後はチーム全員がバーディーの自宅に集まって2015-16シーズンのプレミアリーグ優勝の瞬間を見届けた。
奇跡が現実に――。時が過ぎるのは早いもので、あれはもう3シーズンも前のことだ。
レギュラーが大幅に変更。
あの頃、レスターを率いていたクラウディオ・ラニエリ監督は翌シーズン途中で解任されてクラブを去り、つい先日には現在プレミア最下位で苦しむフルアムの新監督に就任した。また、優勝の立役者だったエンゴロ・カンテとダニー・ドリンクウォーターはチェルシーに、リヤド・マフレズはマンCに引き抜かれており、レスターにはもういない。
彼らに限らず、ほぼ固定メンバーだったミラクル・レスターのスタメン11人のうち、2018-19シーズンも不動のレギュラーと言えるのは、エースのバーディーと、守護神のカスパー・シュマイケルだけになった。
ウェズ・モーガンは今も主将だがピッチではもう絶対的な存在ではなく、彼とセンターバックを組んでいたロベルト・フートは昨季をもって退団(現在は無所属)。
クリスティアン・フクス、ダニー・シンプソンという両サイドバックの職人たちも最近は出場機会が激減しているし、バーディーとマフレズの2枚看板を献身的に支えて「名黒子」と賞賛されたMFマーク・オルブライトンと岡崎も、ベンチを温める機会が増えた。あれから3年が経って、レスターは大きく変わったのだ。