サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
久保建英がアジアで見せた放熱。
「負けて下を向いては差が開く」
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byMasahiro Ura
posted2018/11/06 11:00
主審と対話する久保建英。サッカースキルだけでなく語学力もすでに世界で揉まれていると言える。
現地の少年も「クボ、クボ」。
気候も街も人もあらゆる熱量に溢れていたインドネシアの地で、久保は熱いプレーで応えてみせた。「結果」を残し、少なからず自信は得た。
「今回を貴重な経験にしていかなければいけない。負けてしまったのは仕方ないことでもあるので、前を向いて。ただ前を向くだけではなく、この負けをどう捉えていくか。それが大事になっていくと思います」
U-20W杯の出場権を獲得し、「次があることをプラスに受け止めています」と視線を先に向ける。むしろ負けた借りをその世界の舞台で返したいという覚悟も伝わってくる。
準決勝前のボゴール近郊での日本の練習会場に、インドネシア人の少年2人が訪れていた。「クボ、クボ」と彼を見に来たという。
「日本対インドネシアのサッカーの試合は観たの?」と翻訳機能を介してスマホを見せたら、よく分からん、という反応を示された。言葉足らずだったのか、翻訳が不十分だったのか、それとも字が読めないのか。それはさておき、久保の名前は確かに知っていた。
些細なことかもしれないが、久保はインドネシアでそんな心に訴える熱をも発していた。これもまたサッカーに国境はないということだろう。
ジャカルタのカフェでやせ細った野良猫にすり寄られながら原稿を書きつつ、久保の放熱がどのように広がっていくのか、さらに楽しみになった。