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久保建英がアジアで見せた放熱。
「負けて下を向いては差が開く」 

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塚越始

塚越始Hajime Tsukakoshi

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photograph byMasahiro Ura

posted2018/11/06 11:00

久保建英がアジアで見せた放熱。「負けて下を向いては差が開く」<Number Web> photograph by Masahiro Ura

主審と対話する久保建英。サッカースキルだけでなく語学力もすでに世界で揉まれていると言える。

徹底的に仕掛ける久保に……。

 ゴールを奪うしかない日本は後半開始から、久保と宮代大聖(川崎U-18)を投入した。

 久保はまず4-4-2の右MFに入った。ハーフタイム、影山雅永監督から選手たちへの指示はこうだった。

「もっとゲームをコントロールしよう。日本らしくない。ボールにもっとかかわる、顔を出してあげる、顔を上げる。その勇気を持ってやろうじゃないか。そういう姿勢から1点ずつ返すことが可能だ」

 確かに時間が経つごとに、逃げ切りを図ろうとラインを下げるサウジアラビアに対し、日本が次第に主導権を掴んでいった。71分、今大会3ゴールを決めてブレイクした17歳の斉藤光毅(横浜FCユース)が3枚目のカードで送り出される。斉藤が右MF、久保は2トップの左にポジションを移す。

 するとサウジアラビア守備陣は、ペナルティエリア内に徹底的に仕掛けてくる久保の動きに明らかに手こずる。

久保が絡むと日本の試合は動く。

 久保が仕掛けることが相手ゴール前の壁へのくさびとなる。67分、79分にもDFもGKも飛び出しにくい位置までボールを運び決定的なシュートを放った。が、わずかに枠を捉え切れない。

 さらに試合終了間際、冒頭の話に出たPKかどうかギリギリのところでFKを得たシーン。久保のキックが逆サイドに渡り、斉藤が合わせられれば1点……という場面を作り出した。

 久保の左足から3度、日本のビッグチャンスが生まれたのだ。

 拳を固めて歓喜を爆発させた北朝鮮戦での鮮烈な直接FK、イラク戦での相手を蹴散らすようなペナルティエリア内に切れ込んでの滝裕太(清水)への先制アシストと田川亨介のゴールにつなげたスルー、猛烈な豪雨のなかで突き抜けたインドネシア戦での宮代へのアシスト。

 今大会、日本の試合が大きく動いたとき、いつも久保がゴールに絡んでいた。サウジアラビア戦も、アタッカー陣でシュートを放ったのは久保だけだった。

【次ページ】 「連動していければ勝てた」

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