サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
久保建英がアジアで見せた放熱。
「負けて下を向いては差が開く」
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byMasahiro Ura
posted2018/11/06 11:00
主審と対話する久保建英。サッカースキルだけでなく語学力もすでに世界で揉まれていると言える。
「連動していければ勝てた」
試合を重ねるごとに、攻撃の中心としての存在感は増していった。
サウジアラビア戦のあと、久保は次のように振り返った。
「勝てない相手なんていないと思うので、どこかから糸口を見つけなければいけないと思っていました。今日はそれを完全には見つけられず敗れてしまった。前半から(試合終盤のように)しっかりみんなで連動していければ勝てたかなと。もちろん、もう一度やってもどちらが勝つか分かりませんし、たら、れば、になってしまうのですが。でも、次にやるときが来れば、必ず勝てるように、みんなとしっかり話し合っておきます」
インドネシアには勝てた。ただ、日本と同じく4連勝で勝ち上がってきた中東の雄には、あらゆる面で上回られてしまった。17歳の久保はその現実を言葉にしながら整理していた。
「勝ったチームはもう当然上を向いて次に進んでいる。負けたチームが下を向いたら、今ある差が開いていくだけです。負けたからこそ、しっかり自分たちと向き合い、もっとポジティブにいければ、その差は少しでも縮まっていくんじゃないかなと思います」
悲観ばかりする必要はない。彼は前を向いた。何より、すぐに戦いは待っているから。
マリノスで力になるために。
久保は横浜F・マリノスに合流する。レンタル移籍の身であり、天皇杯はすでに敗れているため、残されたリーグ3試合に集中する。
横浜では加入直後に抜擢され、リーグ24節のヴィッセル神戸戦(◯2-0)では技ありトラップからのハーフボレーも突き刺している。ただ、今大会の直前、久保は出場機会を思うように得られずにいた。
それだけに、彼はインドネシアで掴んだ自信を、横浜の戦いに還元する。力になりたくてうずうずしていた。
「みんながすごく調子が良くて、自分も出られないなか、いろいろな想いはありました。ただそこは代表チームとはまた異なる1つのクラブチームであり、選手全員で戦っているわけで、自分が出られないからどうこうってことはないです。自分も調子は悪くないと思っているので、練習でまた一からアピールして、チームの勝利に少しでも貢献したいです」