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新生Vリーグは客層が変わった!
「社員のもの」から真の興行へ。 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byKyodo News

posted2018/10/30 11:00

新生Vリーグは客層が変わった!「社員のもの」から真の興行へ。<Number Web> photograph by Kyodo News

2012年ロンドン五輪で金メダルを獲得した新外国人ムセルスキーを擁するサントリーが開幕戦勝利を飾った。

選手はどう感じていたのか?

 試合後、主将の藤中謙也はホームゲームについて「見渡せば赤いし、声援も大きかった。観客の温度も違うと感じました」と語った。続いて、横断幕の一件については質問が出る前に自らこう言及した。

「今シーズンから新リーグとなってホーム&アウェイというカラーをさらに強くしていこうという動きがあります。急にそういった動きになったために、難しい部分はたくさんあると思います。ただ、サンバーズは以前からホームゲームに力を入れている。

 今回、リーグ開幕前にファンの方から意見をいただきましたけれど、そういうところも含めてホーム&アウェイだと思っています。もちろんJTさんの協力があってのホームゲームだということはわかっていますので、“僕らが勝手にやった”と誤解せず、正しい理解をしてほしいと思います。もっと熱くバレーボールとサンバーズを応援していただければ、リーグも盛り上がっていくと思いますので」

 当日、スタンドを仕切るフェンスにはすべてサントリーのホームゲームを記すバナーが貼られていた。サントリー側の選手個人の横断幕が見当たらなかったことを思えば、相手へサポーターへの連絡が遅れたという初歩的なミスだろう。

金メダリストの世界水準の高さ。

 さて、ゲームのほうに話を移す。試合は大いに盛り上がり、フルセットでホームチームであるサントリーの勝利で終わった。終始、観客や報道陣の度肝を抜いたのは、新加入のムセルスキーのプレーだ。さすがオリンピックの金メダリスト。218cmという高さを生かした、鋭い角度のサーブやスパイクは、見ている人を大いに楽しませてくれた。

 サッカー界にイニエスタがいるように、バレー界にはムセルスキーがいる。ムセルスキーの存在が新リーグやサンバーズの認知度アップに一役買い、観客動員に結び付くことがビジネス化への成功モデルとなるのではないだろうか。

 もちろん、課題は残されている。外国人選手に予算を取れないチームと、サントリーのような補強ができるチームで成績に差が出ることを懸念する声は以前からあった。しかし野球やサッカー、バスケットのようなプロリーグでは、力のある選手に資金を投入するのは当たり前で、そうやって強くなったチームは観客動員やグッズ収入などでクラブを徐々に大きくしている。

 完全な「プロ化」ではなくても、話題性や観客動員のアップはリーグやチームの価値を高めることにつながるはずだ。

【次ページ】 SNSのプロモーションは課題。

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ドミトリー・ムセルスキー
藤中謙也

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